ピカソとその時代 - ベルリン国立ベルクグリューン美術館展、国立西洋美術館 2 | ワインは素敵な恋の道しるべ

ワインは素敵な恋の道しるべ

白ワインは天使の如く貴方の心を解き放ち、赤ワインの真紅のグラスの底には悪魔が潜む。そして貴方は天使の如く大胆に、悪魔の如く繊細に、新たな恋の道を歩み始める。

今日はバレンタインデーですね。

私にとっては亡き父の誕生日、在りし日の父に想いを馳せ、今日一日を過ごしたいと思います。

 

上野の国立西洋美術館で開催された「ピカソとその時代 - ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」で、ちぃさんと過ごす楽しい絵画鑑賞の続き。

 

第Ⅱ章は、”ピカソとブラック-新しい造形言語の創造”。

ピカソとブラックと言えば、キュビズム。

ブラックの絵は好きなので、それも楽しみ。

 

パブロ・ピカソ、「ジャウメ・サバルテスの肖像」(1904年) 油彩、カンヴァス

1901年末に始まる”青の時代”末期の作品。

 

パブロ・ピカソ、「座るアルルカン」(1905年) 水彩・黒インク、厚紙

1904年のパリ定住後、”バラ色の時代”を迎え、道化師アルルカンや旅芸人の絵を何枚も描いている。

”青の時代”と”バラ色の時代”の絵が並べて展示されると、その違いがとてもよくわかる。

 

パブロ・ピカソ、「女の頭部」(1906-07年) テンペラ・黒インク、紙

1906年半ば頃から、ピカソは古代イベリア彫刻の影響のもと、新たな造形表現の探索を始めた。

ここからの三点はその時代の作品。

特徴はアーモンド形の瞳、様式化された眉や目鼻立ち。

そして1907年半ばからはアフリカ・オセアニア美術に傾倒していく。

上下の端が尖った縦長の顔、長く伸びた鼻筋にはアフリカの影響を、そして黄色や青といった原色の使用にはオセアニアの影響を見ることが出来る。

 

パブロ・ピカソ、「《布を持つ裸婦》のための習作」(1907年) グアッシュ、ラミネート紙

 

パブロ・ピカソ、「裸婦(《アヴィニョンの娘たち》のための習作」(1907年) 油彩、カンヴァス

 

パブロ・ピカソ、「洋梨とリンゴのある果物鉢」(1908年) 油彩、板

 

パブロ・ピカソ、「丘の上の集落(オルタ・デ・エブロ)」(1909年) 油彩、カンヴァス

1909年夏、恋人フェルナンド・オリヴィエと共にスペイン、カタルーニャ地方の村、オルタ・デ・エブロに滞在し、キュビスムの風景画や人物画を多く描いた。

 

パブロ・ピカソ、「女の頭部(フェルナンド)」(1909年) ブロンズ

オルタ・デ・エブロからパリに戻り、カタルーニャで描いたフェルナンドの頭部を元に、立体彫刻を制作。

 

パブロ・ピカソ、「帽子の男/ジョルジュ・ブラックの肖像(通称)」(1909-10年) 油彩、カンヴァス

そうか、ブラックはこんな顔をしていたのか。

まるで「美女と野獣」の世界だ。

 

ブラックの以下の二作品は撮影禁止。

ジョルジュ・ブラック、「女のトルソ」(1910-11年) 油彩、カンヴァス : 東京国立近代美術館所蔵

ジョルジュ・ブラック、「静物」(1910-11年) 油彩、カンヴァス :国立西洋美術館所蔵

 

パブロ・ピカソ、「ポスターのある風景」(1912年) 油彩・エナメル、カンヴァス : 国立国際美術館所蔵

1912年夏に滞在した南仏ソルグの街並みを描いた作品。

モノトーンの細かく分割された画面構成は、「分析的キュビズム」の特徴。

一方、鮮やかな色彩や文字の導入は、続く「総合的キュビズム」の特徴。

二つの時代の橋渡し的な作品だ。

”KUB”は当時販売されていたキュービック・ブイヨンの商品名で、キュビズムとの掛け言葉なっている。

 

パブロ・ピカソ、「ヴァイオリン」(1912-13年) 木炭・鉛筆、紙

 

パブロ・ピカソ、「マ・ジョリ」(1914年) 油彩、カンヴァス

 

パブロ・ピカソ、「一房のブドウのある静物」(1914年) 油彩・木炭・木屑、厚紙

ブドウの実は木屑を貼り付けて表現されている。

 

ブラックのこの作品も撮影禁止。

ジョルジュ・ブラック、「パイプのある静物(ル・コティディアン・デュ・ミディ紙)」(1914年) 黒チョーク・木炭・油彩、カンヴァス

 

パブロ・ピカソ、「グラスとトランプのカードのある静物(マックス・ジャコブへのオマージュ)」(1914年) 鉛筆・グアッシュ・黒チョーク、パピエ・コレ、紙

パピエ・コレは、紙片などをカンヴァスなどに貼り付ける手法で、ブラックやピカソのキュビスムが起源。

 

パブロ・ピカソ、「アプサントのグラス」(1914年) 着彩されたブロンズと銀メッキのスプーン

 

パブロ・ピカソ、「トランプのカード、煙草、瓶、グラスのある静物(マックス・ジャコブへのオマージュ)」(1914年) 鉛筆・グアッシュ・黒チョーク、パピエ・コレ、紙

 

パブロ・ピカソ、「ギターと新聞」(1916年) 油彩・砂、カンヴァス

第一次世界大戦が始まりブラックが出征すると、ピカソは新たなキュビスムの方向性を模索した。

大戦中の作品は、1914年の作品群に較べ、より明快で構成的な造形となっている。

 

パブロ・ピカソ、「グラス、花束、ギター、瓶のある静物」(1919年) 油彩・カンヴァス

戦後になると、キュビスムの幾何学的な表現は和らげられ、次第に有機的な形が取り入れられてくる。

 

パブロ・ピカソ、「青いギターのある静物」(1924年) 油彩・カンヴァス

 

ピカソのキュビスム時代の絵画はこれで終了。

鑑賞記は第Ⅲ章に続きます。