10月中旬のこと、彼女から明日の午後に半休を取るのでランチを一緒にしたいとのメッセージ。
二人が好きな丸の内のフレンチを予約し、お店で待ち合わせることに。
大手町から向かったのは、みずほ丸の内タワー、ではなく、この中に入っている「丸の内テラス」。
ここは旧日本興業銀行本店のあった場所。
名前は”丸の内”だが、丸の内仲通りの終点にあり、最寄り駅は大手町。
今日は雨混じりの曇りの天気。
丸の内仲通りも濡れていて、通りを歩く人の姿も少ない。
予約しているランチのお店は、この素敵なセラーがあるフレンチ。
『エスプリ・ド・タイユヴァン』は、パリの名店、『タイユヴァン』の料理を気軽に味わえるお店。
待ち合わせ時間の10分前に入店し、彼女が到着する前に今日のワインを選んでおくことにする。
ウォークインセラーにはタイユヴァン厳選のワイン、400種類以上が並ぶ。
ソムリエールの出牛さんと相談しながら、ワインを選ぶ。
確かここで前回はロワール、その前はブルゴーニュ、さらにその前はボルドーを飲んだ。
今回は既に決めているランチの料理に合わせ、ブルゴーニュのピノ・ノワールを選ぶ。
カウンターに座って待っていると、ほぼ時間通りに彼女が到着。
やはり平日はランチの客の引きが早く、既にお店は貸切状態。
最初はエノテカの定番のスパークリングワイン、チリのコンチャ・イ・トロが手掛けるワイナリー、マイカス・デル・リマリが造る、エスパス・オブ・リマリ、ブリュット。
そう、このお店はエノテカの経営。
シトラス系の香り、フルーティーでありながらキレの良い辛口。
セパージュは、シャルドネ87%、ピノ・ノワール13%。
今日のスープは、ごぼうのヴルーテ。
ランチの後にあるお店に行く予定なので、今日はフルコースではなく、スープとメイン料理のランチコースをお願いしている。
パンも届く。
もう一杯スパークリングを飲むことにする。
スペイン、カタルーニャのクロ・モンブランが造る、プロジェクト・クワトロ、カヴァ、ロゼ。
名前の表記が”CU4TRO”とは面白い。
スペイン語で”cuatro”は”4”。
”A”が”4”になっている。
クワトロの由来は、ぶどうを4品種使っていること。
ストロベリーやラズベリーの赤い果実の香り。
豊かな果実味と酸味のバランスが良く、ブリオッシュや炒ったナッツのニュアンスも。
セパージュは、トレパ80%、ピノ・ノワール15%、ガルナッチャ3%、モナストレル2%。
こちらの責任者の保坂ソムリエとのワインの話しも楽しい。
壁にはタイユヴァン・コレクションのワインが並ぶ。
以前ここで購入した、ドメーヌ・ブリュノ・クレールが造る、タイユヴァン・コレクション、マルサネ、ロゼ、ル・サントネール、2017年が素晴らしく美味しいという話でも盛り上がる。
メイン料理が出される前に、抜栓しておいたブルゴーニュのピノ・ノワールを出してもらう。
ギレーヌ・バルト、ブルゴーニュ・ルージュ、セレクション・タイユヴァン、2016年。
ギレーヌ・バルトはシャンボール・ミュジニーに1925年に設立され、1999年に現当主のギレーヌ・バルト女史が引き継いでいる。
畑は6.5ha、シャンボール・ミュジニー屈指の造り手と高い評価を得ている。
ラズベリーやストロベリーの赤いベリー系の香り。
口に含むと、溢れるばかりの果実味、シルキーなタンニン、綺麗な酸味、実に繊細でエレガントなピノ・ノワールで、村名クラスの実力を備えている。
ワインはドメーヌのセラーで保管され、飲み頃になってからリリースされているのだそうだ。
和牛ほほ肉の赤ワイン煮込み。
グランド・メニューではブフ・ブルギニヨンだが、ランチ・メニューではわかりにくいということで、和牛ほほ肉の赤ワイン煮込みという名称を使っているのだそうだ。
大きな和牛ほほ肉の塊は存在感がある。
口の中でとろけてしまうほど柔らかい。
このブルゴーニュ料理には、やはりブルゴーニュのピノ・ノワールが良く合って美味い。
美しいピノ・ノワール色。
最後の一杯を名残惜しそうに色合いを楽しみながら飲み干す。
食後はコーヒー。
ソムリエの保坂さんや出牛さんとのお話しが楽しく、コーヒーは二杯目。
あまり遅くまで居座るとお店の方々に迷惑をかけるので、そろそろお暇することにする。
彼女と過ごす、丸の内の楽しい午後は続きます。