築地のイタリアンの名店、『オステリア ナトゥラーレ』で、ちぃさんと過ごす楽しい夜の続き。
プリモ・ピアットの一皿目は、海の幸のパッケリ、ピスタチオ風味。
パッケリは茹で時間が長く手間がかかるので、メニューに載せているお店は少ない。
ピスタチオは大好物。
テヘランに行くと、釜で炒ってもらった熱々のピスタチオを大量に買い、スーツケースに詰めて持ち帰っていた。
ダイス状の海の幸は、宮城県産のマカジキと小柱。
ソースの香りが堪らなく魅力的。
ソースを一滴も落とすことも無く、綺麗に取り分けることが出来た。
好みの味で美味い。
でも困ったことに、パッケリでお腹が急に満たされてしまった。
スプマンテのボトルを飲み干すと、赤ワインを抜栓。
マルケ州のアジィエンダ・アグリコーラ・セルヴァグロッサが造る、ムスケン、2020年。
セルヴァグロッサは2001年にアレッサンドロとアルベルト・タッディ兄弟が立ち上げた若いカンティーナ。
ムスケンは兄のアレッサンドロが造るワイン。
ムスケンとはアレッサンドロのニックネームで、マルケの方言で”蝿”という意味。
何時も畑を歩き回っているアレッサンドロさんを見て、地元の人がまるで畑の蝿のようだと言ったことから付いたニックネーム。
そう聞いてエチケットを見ると、見える世界が違ってくる。
オリジナルのバックラベルの上にモトックスのシールがベタッと貼られているので、読むことが出来ない。
辛うじて、オーガニックワインであることを証明するEUのユーロリーフを見ることが出来る。
アルコールは14%と強め。
ちぃさんと再び乾杯。
色合いは濃いルビー色。
ラズベリーやブラックベリーのベリー系のフレッシュな香り。
口に含むと、カシス、プルーン、レーズン、そしてスミレやハーブのニュアンス。
2020年と若いので、あと1~2年寝かせると更に果実味と酸、タンニンのバランスが取れて一層美味しくなりそうだ。
セパージュは、サンジョヴェーゼ60%、メルロー30%、カベルネ・フラン10%。
プリモ・ピアットの二皿目は、冷製白桃のフェデリーニ。
白桃も夏の美味。
見るだけで口の中に唾液が湧き出てくる。
桃の上に散らされているのは、凍らせたゴルゴンゾーラと、ミントの葉。
取り分けは私の役目。
今回も割と綺麗な盛り付けと自画自賛。
白桃の甘みとソースの酸味のバランスが素晴らしい。
セコンド・ピアットが届く。
オーストラリア産骨付き仔羊のロースト、香草風味。
ローズマリーの香りが心地良い。
注文する時に、若井シェフからは「そんなに量はありません」と聞いていたが、驚きのヴォリューム。
仔羊の下には、子芋。
焼き色が素晴らしく、柔らかな仔羊が最高に美味い。
パッケリが効いたのか、ちぃさんはお腹がいっぱいとのことで一切れだけ。
私が三切れと、この骨の部分を美味しくいただく。
私もお腹がはち切れそうになり、デセールもコーヒーももう無理。
食後はオーナーシェフの若井さんと記念撮影。
上着を急いで着たので、シャツの襟が片方はみ出てしまっている。
若井シェフの創意工夫が光り、美味しく、楽しいディナーだった。
満腹満足で店をあとにする。
シェフが外まで出てくれ、私達が角を曲がって見えなくなるまで見送ってくれた。
築地本願寺が明るく輝く。
東銀座の歌舞伎座での歌舞伎鑑賞と、築地の『オステリア ナトゥラーレ』でのイタリアン・ディナーをちぃさんと共に楽しんだ、素敵な半日でした。