銀座のフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
ポワソンは驚きのヴィジュアル。
高知県四万十川に流れる天然鮎のフリット、夏野菜のエチュベ、グリーンアスパラガスと香り野菜のソースヴェルト。
白ワインが美味しくて料理が届く前にほとんど飲んでしまったので、急いで二杯目を注いでもらう。
ラングドックの人気の造り手、ジェラール・ベルトランのレゼルヴ・スペシャル、ヴィオニエ、2019年。
貴重な食材である四万十川の天然鮎を食べることが出来るとは幸せ。
「天然の鮎は養殖と違って顔が獰猛ね」と彼女。
背骨を抜き、中にバター、パセリ、高知県産茗荷が挟み込まれている。
下に敷かれているのは夏野菜のエチュベ。
グリーンは、バジルのソースヴェルト。
アスパラガスは栃木県産。
背骨を抜きよく揚げられているので、頭から尾鰭まで全て食べることが出来る。
わたのほろ苦さもあり、最高に美味。
あとで星野シェフに「貴重な四万十川の天然鮎がよく手に入りましたね」と話したところ、生産者から「東京でブランド価値を上げたいので、是非使ってください」と依頼があったとのこと。
星野さんとしても、輸入食材の流通が減り、円安で価格も上がり、国産の食材の開発に注力しているのだそうだ。
ジェラール・ベルトランのヴィオニエが美味しいので、三杯目。
そうこうするうちに肉料理が出されるタイミングになったので、赤ワインを注いでもらう。
ボルドー、オー・メドックのシャトー・ソシアンド・マレ、2014年。
これは素晴らしい赤が出された。
エチケットにはオーナーのジャン・ゴートローの名前が入っている。
フランスでの人気が高く、ほとんど輸出されない貴重なワイン。
メドックの格付け見直しが行われれば、確実にグラン・クリュ、第三級以上に格付けされると評価されている。
バックラベルにはジャン・ゴートローのサイン。
アルコール度数は13.5%と高い。
色合いは濃いガーネット。
強い果実味、カシス、プラム、レーズン、インク、そしてバニラのニュアンス。
タンニンは強いがとてもこなれて円やか。
余韻は長い。
セパージュは、メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン37%、カベルネ・フラン3%。
熟成はフレンチオークの樽で12ヶ月、新樽比率は100%。
ヴィヤンドは、ジャガイモを纏った仔羊のロースト、ジューソース。
仔羊は大好きな食材なので嬉しい一皿。
美しい焼き色。
仔羊はニュージーランド産の腿肉。
夏野菜のグリルも旨みが強い。
黒いのは、黒オリーブの粉末。
シャトー・ソシアンド・マレとの相性も素晴らしい。
デセールは、自然界のサプリメント”ピート”のプロフィットロール、ウイスキー風味。
プロフィットロールは、シュー皮でバニラアイスクリームを挟み、ホットチョコレートソースを掛けたもの。
ピートの香りが素晴らしく、あっという間に三つを平らげてしまう。
食後は濃いコーヒー。
カップの向きを変えると、『ポール・ボキューズ』の名前が現われる。
星野シェフが挨拶に来てくれる。
今夜の料理や色々な話題についてお話しするのがとても楽しい。
竹内支配人に見送られ、今夜も満ち足りた思いで店をあとにする。
写真は在りし日のポール・ボキューズさん。
「マロニエゲート銀座1」を出て振り返る。
上層階で窓に明かりがついている3フロアがレストラン街で、その一番下の階の手前の角が『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』。
夜になり少し風が出てきて涼しくなった。
風にたなびく銀座の柳を観ながら二人で散策。
彼女と過ごす銀座の夜は楽しく更けていきました。