特別展 ポンペイ、東京国立博物館 平成館 | ワインは素敵な恋の道しるべ

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白ワインは天使の如く貴方の心を解き放ち、赤ワインの真紅のグラスの底には悪魔が潜む。そして貴方は天使の如く大胆に、悪魔の如く繊細に、新たな恋の道を歩み始める。

彼女と上野駅で待ち合わせ。

東京国立博物館で開催されている”特別展 ポンペイ”を観たいというので、ある平日の夕方、観に行くことにした。

何故”ポンペイ展”を観たいかと言うと、彼女は実際にポンペイを訪れているので、どんな品が展示されているか興味があるとのこと。

 

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この日は生憎の天気で、空は鉛色。

 

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先週来た時は改修中の国立西洋美術館は高い塀で覆われ中が見えなくなっていたが、今日は塀は取り払われ、オーギュスト・ロダンの「考える人」も「カレーの市民」も見えるようになっている。

遠くには、ロダンの「地獄の門」とエミール=アントワーヌ・ブールデルの「弓をひくヘラクレス」。

 

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今日の目的は”特別展 ポンペイ”。

”特別展 空也上人と六波羅蜜寺”も観たかったが、このあとのディナー時間を考えると、断念。

 

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国立科学博物館では、”特別展 宝石 地球がうみだすキセキ”が催されている。

 

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そして”巡回展 ポケモン化石博物館”も開催中。

 

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大噴水の横には、満開の濃いピンクの桜の花。

 

IMG_20220319_150203.jpg近寄って観察すると、これはカンヒザクラ(寒緋桜)だ。

バラ科サクラ属の落葉亜高木で、原産地は台湾、中国南部。

花言葉は、”艶やかな美人”、”善行”、”高貴”、”尊大”。

 

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いよいよ東京国立博物館に到着。

 

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本館の横を抜け、奥に進む。

 

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”ポンペイ展”の会場は、平成館。

 

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入口には展示物の見どころの写真が貼り出されている。

 

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いよいよ入場。

この企画展は写真撮影可なのが嬉しい。

そして展示品数は、ナポリ国立考古学博物館収蔵の逸品、158点。

入口には”90分以内の鑑賞”と書かれているが、これだけの展示品を90分で観るのは忙し過ぎる。

”ポンペイ展”は、東京での展示を皮切りに、京都、宮城、福岡を巡回する。

ただし、158点のうち29点は東京のみの公開。

 

今回の展示は、序章~第5章に分かれている。

序章は”ヴェスヴィオ山噴火とポンペイ埋没”。

 

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まずはポンペイの街の概要、そして年代表を頭に入れる。

ヴェスヴィオ山が噴火したのは紀元後79年。

1万人の人口を擁した街が消えた。

 

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ヴェスヴィオ山噴火を再現したCG映像の迫力は圧巻。

 

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「バックス(ディオニュソス)とヴェスヴィオ山」 フレスコ

「百年祭の家」のフレスコ画で、噴火直前のヴェスヴィオ山が描かれている。

山の斜面はぶどう畑で覆われ、横に立つのは酒神、バックス。

足元にはバックスの聖獣、豹。

 

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「女性犠牲者の石膏像」

TVでは何度も観ているが、こうして実物を見ると火砕流の怖さを実感し、火山大国に住む人間としては背筋が寒くなる。

今回は一体のみの来日だが、彼女によるとポンペイでは何体も見たとのこと。

 

第1章は、”ポンペイの街―公共建築と宗教”。

ポンペイの街には高度に発達したインフラや公共施設が整備されていた。

そしてその芸術性の高さには目を見張るものがある。

 

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「フォルムの日常風景」 フレスコ

フォルムとは中央広場のこと。

商売人と客が駆け引きをする、何だかとても親しみの湧く街の風景だ。

2000年経っても人間の本質は変わらないようだ。

 

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「ポリュクレイトス”槍を持つ人”」(東京のみ) カッラーラ大理石

古代ギリシャの彫刻家、ポリュクレイトス製作のブロンズ像を大理石で複製したもの。

古代ギリシャの芸術への憧れが感じられる。

カッラーラはトスカーナ州のリグーリア州との境にある大理石産地。

 

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「擬アルカイック様式のアポロ」 大理石

古代ギリシャのアルカイック様式を擬した大理石の彫像。

アポロは太陽と芸術、特に音楽の神で、左手には弦楽器を持っていたと考えられている。

足元に居るのはアポロの聖獣、グリプス(グリフォン)。

 

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「食卓のヘラクレス」 ブロンズ

アレクサンドロス大王のためにリシュポスが製作した作品に創意を得たブロンズ像。

饗宴で盃を差し出している姿なのだそうだ。

 

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「三美神」 フレスコ

三美神は西洋美術では重要なモチーフで、ラファエロやルーベンスも描いている。

ボッティチェリのプリマヴェーラの中にもほぼ同じ構図の三美神が描かれている。

三人はローマ神話の最高神、ユピテルの娘たちで、輝き、喜び、繁栄を司る女神。

 

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「ビキニのウェヌス」(東京のみ) 大理石、目:練りガラス

今回注目していた彫像。

女神ウェヌス(ビーナス)が沐浴のためサンダルを脱ぐところを表している。

美しい金彩が残っている。

ウェヌスの沐浴は古代ギリシャ・ローマで好まれたテーマ。

傍らにいるのは、プリアプス(男性の生殖力の神)とクピド(恋の神、ウェヌスの子供、キューピッド)。

 

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「俳優(悲劇の若者役)」と「俳優(女性役、おそらく遊女)」 土製

こんな像が造られていたことからも、演劇が盛んであったことがわかる。

 

2000年、栄華のタイムカプセル 特別展「ポンペイ」:朝日 ...

「辻音楽師」(東京のみ) モザイク

ポスターにも使われている重要なモザイク画を撮影忘れ。

(写真は朝日新聞デジタルからお借りしました。)
仮面を被った三人の楽団がある家を訪れているところ。

ポンペイが位置するカンパニア地方では演劇が盛んだったのだそうだ。

人物が活き活きと描かれた素晴らしいモザイク画だ。

 

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「パレード用の兜」 ブロンズ

他にも脛当てと肩当てが展示されている。

 

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「円形競技場での乱闘」(東京のみ) フレスコ

面白かったのは、史実を描いたこのフレスコ画。

剣闘士興業のさなかに、ポンペイ市民と近隣のヌケリア市民との間に起こった抗争事件なのだそうだ。

ここまででやっと序章と第1章、”ポンペイ展”鑑賞記は続きます。