六本木の国立新美術館にあるフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
ドゥラモットのシャンパーニュ、ミシェル・ブーズローのシャルドネを飲んだ後は、ボルドーの赤ワイン。
シャトー・シャス・スプリーン、2014年。
シャス・スプリーンはメドック、ムーリスのトップ・シャトーで、クリュ・ブルジョワだが格付けワインの実力と言われており、「神の雫」にも登場している。
シャトーの名前は”憂いを払う”という意味で、1821年にこのシャトーに滞在した英国の詩人、バイロン卿が命名したと言われている。
濃密な果実味と強いタンニンのバランスが素晴らしいフル・ボディ。
オーク樽で12~14ヶ月熟成され、新樽比率は50%。
2014VTのセパージュは、メルロー50%、カベルネ・ソーヴィニヨン45%、プティ・ヴェルド5%。
牛ヒレ肉のグリエ、黒トリュフ香るソース・ペリグー、じゃがいものドフィノワ。
炭の香りが食欲をそそる。
ヒレ肉が面白い形をしている。
この肉を見ていると、トルコのカッパドキアを思い出す。
ソース・ペリグーは、牛肉のフォンにマデイラ酒を加えて煮詰め、ペリゴール地方名産の黒トリュフをたっぷり入れたソース。
付け合わせの野菜の彩りが美しい。
そしてじゃがいものドフィノワ。
別皿でたっぷり出されるところが、リヨン料理。
これだけでお腹がいっぱいになってしまう。
デセールは、紅玉のタルトタタン、ヴァニラ風味のアイスクリーム。
二人ともタルトタタンが大好き。
「日比谷のブヴェットのタルトタタンも食べに行きたいね」などと話が弾む。
ヴァニラアイスクリームにはリンゴのチップが刺さっている。
食後は濃く熱いコーヒー。
今夜の植田シェフの料理も美味しく、松尾支配人が選んでくれたワインも素晴らしかった。
松尾支配人に見送られ、店をあとにする。
「もう雪は止んだのでしょうか」と私。
「いえいえ、まだ降っていますよ」と松尾さん。
松尾さんに案内され、大きな窓の前に立つと、中庭になった二階の屋上に雪が降り積もっている。
雪で白くなった部分には土が敷かれていて、美術館の開業時には竹が茂っていたのだそうだ。
でも薄い土では上手く育たず、今は数本の細い竹が残るだけとなっている。
階下を見下ろすと、エントランスだけが明るく輝いている。
何時もは閉館後は離れた場所にある非常口から外に出るのだが、そこには屋根が無い。
国立新美術館には傘を持ち込むことが出来ず、エントランスの外にある屋根続きの建物に傘を預けることとなっている。
雪が降りしきっているので濡れずに傘を受け取れるように、今夜は特別にエントランスが解放されているのだ。
傘を受け取って外に出ると、吉岡徳仁作「ガラスの茶室」の屋根にも雪が積もっている。
国立新美術館に別れを告げ、六本木駅に向かう。
東京ミッドタウン西交差点に来ると、雪を避け、地下に下る。
向かった先は、東京ミッドタウン六本木。
目的は、「プレッセ・プレミアム」。
彼女の朝食用のサラダを幾つか購入。
エコバッグにサラダのパックを詰め、帰途に就く。
最寄り駅に着くと、雪がどのくらい積もっているのか見たくて、遠回りして公園に向かう。
芝生の上は真っ白。
でも、1月初めの雪に較べれば、積雪は少ない。
これが1月初めの雪の夜の同じ樹の写真。
遊歩道の雪は溶けてしまっている。
これなら明日の朝は大丈夫だ。
彼女と過ごす、国立新美術館の『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』での楽しく美味しい夜でした。