11月初旬のこと、彼女と久し振りに六本木の国立新美術館のフレンチで待ち合わせ。
何時もは六本木側から来ることが多いが、今日は乃木坂側から入館。
国立新美術館への長いアプローチを歩いていると、右手には綺麗な夕焼け。
陽が陰るのが本当に早くなった。
今は「庵野秀明展」を開催中。
館内には若い来館者が目立つ。
「日展」も開催中だが、規模はだいぶ縮小されているようだ。
ところで、国立新美術館に着いた時に化粧室を利用した。
男性マークの化粧室に入ったところ、鏡の前でスカート姿の髪の長い女性が化粧直しをしていた。
間違えたと思って外に飛び出したが、改めてマークを見ると男性用。
再度中に入り、その女性に「済みませんがここは男性用トイレですよね」と声を掛ける。
「そうですよ」と太い声と共に振り向いた顔を見て驚いたlことに、厳つい顔をした男性だった。
あとで聞いた話では、国立新美術館には女装した男性が結構来るそうで、女性用トイレを利用して騒ぎになることもあるそうだ。
LGBTの定義上も、男性の女装趣味との区分はなかなか難しい。
タイでは三種類のトイレ、男性用、女性用、区分無しが作られ始めているそうだが、日本もいずれそうなるのだろうか。
今夜のお店、『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』はこの上。
エレベーターで三階に上り、店に通じる橋を渡る。
入口のテーブルには故ポール・ボキューズ氏を紹介するリーフレット類が置かれている。
前回来た時はハロウィンの飾りつけだったが、今はもうリースが置かれ、クリスマス仕様。
今回も四人用のテーブルに斜向かいにセッティングされている。
目の前には、六本木ヒルズ。
直ぐ近くに見えるが、歩くと10分ちょっとかかる。
左に目を向けると、東京タワー。
今夜は植田シェフがどんな料理を用意してくれたか楽しみだ。
彼女が到着すると、松尾支配人が最初のワインを注いでくれる。
ドゥラモット、シャンパーニュ、ブリュット、プール・ヒラマツ。
抜栓したてのシャンパーニュは泡立ちも良く、香りも素晴らしい。
サロンの姉妹メゾンのシャンパーニュはやはり美味い。
セパージュは、シャルドネ50%、ピノ・ノワール30%、ピノ・ムニエ20%。
アミューズはバジルのマドレーヌとブラックオリーブのサブレ。
バゲットが届く。
バゲットのお供は、定番のカレー風味の鶏のリエット。
これが美味いので、バゲットが進んでしまう。
フランス産フォアグラのポワレ、甘酸っぱいソース・フランボワーズ、インゲン豆のサラダ。
フォアグラは『ポール・ボキューズ』の定番メニュー。
上質のフォアグラが濃厚で美味い。
白ワインは、ボルドー、グラーヴのシャトー・ブロンデル・ブラン、2012年。
このワインは2018年に同じ2012VTを飲んだことがある。
それから三年の時を経てどのように熟成しているか楽しみだ。
色合いは輝くような、少しモスグリーンの入った黄金色。
琥珀色の退色は見えない。
口に含むと、三年前は爽やかな柑橘系の味わいだったが、今回は熟した洋梨やオレンジのコンポートのニュアンス。
濃厚な果実味と熟成感が素晴らしい。
「綺麗に熟成しているわ。これ、好きよ」と、グラーヴが好みの彼女の評価も高い。
グラーヴの熟成ワインもブルゴーニュの熟成シャルドネに負けずに美味い。
セパージュは、セミヨン70%、ソーヴィニヨン・ブラン30%。
六本木の国立新美術館の中のフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。