六本木のフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で茶目子さんと過ごす楽しいお誕生会ディナーの続き。
ヴーヴ・アンバルのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ロゼ、ブリュット、2017年を飲み干すと、白ワインで再び乾杯。
ロワールのドメーヌ・サン・ニコラ、レ・クル、フィエフ・ヴァンデアン・ブレム、2018年。
ドメーヌ・サン・ニコラはビオディナミの造り手で、ユーロリーフ、デメテール、ビオディヴァン、AB(アグリカルチャー・ビオロジック)などの認証を得ている。
33haの畑は大西洋に面し、強風が吹き荒れるためぶどうの幹の大部分は土中にありそこから枝が伸びるという驚きの仕立て方となっている。
クリアで綺麗な果実味、活き活きとした酸、そして豊富なミネラルを持つ素晴らしいバランスのボディ。
セパージュは、シュナン・ブラン60%、シャルドネ20%、グロロ・グリ20%。
自然酵母を用い、ステンレスタンクで醸造されている。
鴨のテリーヌ、カンパーニュ風。
リンゴと生姜のチャツネと香ばしいアーモンドのサラダ添え。
カンパーニュ風とは田舎風のこと。
パテ・ド・カンパーニュはパイ皮で包み焼きになっているが、これはテリーヌ型で焼いているので、カンパーニュ風のテリーヌなのだ。
パテ・ド・カンパーニュは豚肉のミンチとレバーで作られているが、これは鴨肉とフォアグラに豚肉を加えて作られている。
鴨のテリーヌは好物なので嬉しい前菜。
リンゴと生姜のチャツネを付けて食べると一層美味い。
赤ワインはボトルで注文し、早めに抜栓しておいてもらった。
ボルドー右岸の、クロ・ド・ラ・キュール、サンテミリオン・グラン・クリュ、2006年。
コルクは上質で、状態も香りもとても良い。
改めて、お誕生日おめでとうの乾杯。
色合いは紫を帯びた濃いガーネット。
重厚な果実味、ベルベットのような強いが円やかなタンニン。
15年の熟成を経て飲み頃を迎えている。
セパージュは、メルロー75%、カベルネ・フラン25%で、アルコール度数は14%と高い。
スズキのロースト、夏野菜添え、タプナードソース、バジルのアクセント。
スズキは肉厚で、とても大物だとわかる。
これだけでお腹がいっぱいになってしまいそうだ。
リヨンの料理はヴォリュームがあるのも特徴の一つ。
こちらの植田シェフの料理は、日本の『ポール・ボキューズ』各店の中でも、リヨンの『ポール・ボキューズ』本店の料理に一番忠実と言われている。
クロ・ド・ラ・キュールは不透明な濃いガーネットだと思っていたが、ダウンライトにかざすと美しい像を結んだ。
牛ハラミ肉のグリエ、ソース・シャルキュティエール、じゃがいものロースト添え。
ソース・シャルキュティエールは”肉屋さん風”のソースで、ピクルス、タマネギ、マスタードを使ったソース。
普通は豚肉に使われるソースだが、これはコニャックを加え、牛ハラミ肉に使われている。
火入れも美しく美味い。
お供は、ジャガイモのローストと、レンズ豆。
デセールは、ハピバプレートをお願いしておいた。
これは茶目子さんのプレート。
そして私のプレート。
植田シェフが素敵なケーキを作ってくれた。
台座はパウンドケーキではなく、ムース。
一緒に届いたのは、濃厚なバニラアイスクリーム。
底にはキャラメリゼしたアーモンドが敷かれている。
濃厚なコーヒーがいっぱいになったお腹を癒してくれる。
クロ・ド・ラ・キュールの最後の一杯を飲み干すと、底には細かな澱が残った。
まるでピノ・ノワールのような澱だ。
松尾支配人に見送られ、店をあとにする。
国立新美術館は二時間以上前に閉館しているので、広い館内に人の姿はない。
レストランのある三階から一階を見下ろすと、円錐形のエントランスが明るく輝いている。
一階に下りるとレストランでサーヴしてくれたスタッフが迎えてくれ、エントランスで見送ってくれる。
外は雨。
国立新美術館に別れを告げ、帰途に就く。
雨を避け、早々にミッドタウンに通じる地下通路に下る。
一ヶ月遅れになったが、今年も何とか茶目子さんとの合同お誕生会を実施することができた、六本木の楽しい夜でした。