丸の内のフレンチ、『サンス・エ・サヴール』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
ここは最年少でミシュラン三ツ星を獲得したプルセル兄弟のお店、モンペリエの『ル・ジャルダン・デ・サンス』の東京店。
赤ワインは好きな造り手の物。
ロワールのアルフォンス・メロが造る、ラ・ムシエール、サンセール・ルージュ、2010年。
アルフォンス・メロはサンセールで19代続く名門で、フランスで最も評価の高い造り手のひとつ。
フランボアーズ、ブラックベリーの香り。
赤系果実の綺麗な果実味、キンメリジャン土壌由来の活き活きとしたミネラル感、そしてバラやシガーのニュアンス。
冷涼な気候を感じさせる、引き締まったボディのピノ・ノワールだ。
ラ・ムシエールはメロ家の家宝ともいえる単一畑で、サンセールの丘の南から南東向きの頂上部を占めている。
ぶどうの収穫量は非常に低く抑えられ、栽培はビオディナミ。
52℃で蒸し焼きにした瀬戸内産天然真鯛、クレオール風トマトとマンゴーのルガイユ、フォアグラのエマンセ、タルベ産ココ豆のクレーム、赤ワインのガルディアンソース。
真鯛の上にはココ豆のクレーム、その上には赤いルガイユ。
ルガイユは西インド洋にあるフランス領レユニオン島の料理。
一番上のクルスティアンの中には、海老のすり身。
一番下のガルディアンソースには、フォンドボーとイカ墨が使われている。
色々な味を楽しむことが出来る宝石箱のような一皿。
ビゴのパンの二種類目、ブールが届く。
続く赤ワインは、素晴らしいボルドー。
マルゴーのシャトー・ディッサン、2009年。
格付け第三級のグラン・クリュで、シャトー・マルゴーと並びマルゴーの二大シャトーと称されてきた。
色合いは濃いガーネット。
熟したカシスやプラムの香り。
口に含むと、黒果実の強い凝縮感、強いが果実味に綺麗に溶け込んだタンニン、バラやスミレのニュアンスを持つ、複雑なストラクチャー。
まだまだ若く、長期熟成のポテンシャルを感じさせる。
やはり2009年のシャトー・ディッサンは美味い。
セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン77%、メルロー23%。
樽熟成の新樽比率は、50%。
黒毛和牛サーロインの炭火焼き、スパイス香る蜂蜜のキャラメル、埼玉県産アスパラガスのグリエ、春ハーブのコンディメント、北海道白糠町産さやあかねとモンヴィーゾのリソール。
肉に合わせる春ハーブのコンディメントにはコリアンダーと醤油が使われている。
肉の上に見えるのは、白糠のさやあかね(じゃがいも)とモンヴィーゾ(ハードタイプ・チーズ)のリソール(パイ皮包み揚げ)。
野菜のグリエは、アスパラガスと紅芯大根。
まだ赤ワインを飲みたいので、フロマージュを出してもらう。
緊急事態宣言中ということで、フロマージュの品揃えが少なくて申し訳ありませんとのことだが、これだけあれば充分。
コンテ、リコッタ・サルーテ、ロビオーラは全て北海道産。
フロマージュに良く合いワインが進む。
あれ、デキャンタージュしていたシャトー・ディッサンが無くなってしまった。
最後の一杯はしみじみ味わって飲む。
プレ・デセールは、ショコラとマスカルポーネのムース。
ヨーグルトクリーム、グラニテカフェと共に。
料理とワインでいっぱいになったお腹を、甘く冷たいクリームが癒してくれる。
飲み物のワゴンが届く。
コーヒーも紅茶もハーブティーも種類が多く選ぶのが大変。
私はハーブティーの中から、レモングラス、スペアミント、ラベンダー、レモンバーベナのブレンドを選択。
デセールは、熊本県産宮本果樹園のブラッドオレンジキャラメリゼとショコラのシュセットグラッセ。
ブラッドオレンジのソルベにハニーナッツとクーリカカオのアクセント。
キャラメリゼされたブラッドオレンジの上には、ショコラのシュセットグラッセ。
さらにその上にはハニーナッツ。
カカオの濃厚なソースが良いアクセントとなっている。
ブラッドオレンジのソルベが無いと思ったら、裏側に隠れていた。
選んだハーブティーが届く。
ミニャルディーズは、パイナップルとレモンの焼き菓子、ショコラのマカロン、フランボワーズの生キャラメル。
窓の外はすっかり夜の帳に覆われている。
今夜の鴨田シェフの料理も素晴らしかった。
部屋を出ると、ギターを持つ道化師の絵。
鴨田シェフが待っていてくれた。
今夜の料理について色々お話しを交わす楽しい時間。
お店の皆さんに見送られ、店をあとにする。
丸の内のフレンチ、『サンス・エ・サヴール』で彼女と過ごす、素敵な夜でした。