11月中旬のある日のお昼、乃木坂駅に降り立つ。
午前の用事が予想外に早く終わったので、待ち合わせまでには小一時間ある。
そこで久し振りに旧乃木邸を見学することにする。
先日ちぃさんとここを訪れた時は既に閉門後で見学できなかったのだ。
正門は改修中なので、乃木公園側の通用門から敷地内に入る。
入ってすぐ左側は厩舎。
乃木大将の愛馬がここで飼育されていた。
母屋に較べ厩舎がとても立派なことからも、乃木大将の馬への愛情の深さがわかる。
内側から見ると、正門の改修は終わったようだ。
広い庭の奥に見える黒い和風建築が旧乃木邸。
旧乃木邸の見学は三度目。
清貧な生活で知られる乃木大将の家はとても小さい。
家の周りには見学デッキが作られており、家の中を見ることが出来る。
この部屋は、乃木夫妻が明治天皇の崩御の報を受け、殉死された部屋。
こちらから見て正面で静子夫人が殉死されたこと、左手で横向きに乃木大将が殉死されたことを示す札が置かれている。
乃木大将の辞世の句は、”うつし世を 神さりましし 大君の みあとしたひて 我はゆくなり”。
乃木大将が自刃されたときは既に老年というイメージだったが、実際にはまだ64歳だった。
旧乃木邸の敷地は乃木坂沿いにあるため、外苑東通り側から奥に向かって傾斜している。
そのため家の裏側は一階の下にも部屋がある。
敷地内には、乃木家祖霊社がある。
ここには乃木家の先祖だけでなく、26歳で戦死した長男、24歳で戦死した次男も祀られている。
乃木大将ご夫妻とご子息の墓は、青山墓地にある。
祖霊社の横には手水舎。
旧乃木邸の見学を終えると、庭園の坂道を下り、乃木神社に向かう。
この急な坂を下ると、乃木神社の入り口に通じる門がある。
これが、乃木神社側から撮影した、旧乃木邸の門。
鳥居を抜け先に進もうとすると、神社の方に「済みませんが結婚式の行列が来ますので少々お待ちください」と止められる。
太鼓の音が響き、新郎新婦の行列が現れる。
お隣の乃木会館で着付けをし、境内に移動してこられたのだ。
本殿では厳かに結婚式が挙げられているので、お参りはしても撮影は控える。
本殿横の大銀杏も黄葉している。
儀式殿横の楷樹も美しく色付いている。
この楷の樹は、中国の孔子廟の楷の樹の種子から育てられたもの。
乃木坂駅に戻り彼女を迎えると、外苑東通りを下り、ランチのお店に向かう。
毎年11月に訪問しているイタリアン、『ラ・フフォリーナ』。
何故なら、ここの白トリュフのタヤリンが絶品なのだ。
”ラ・スフォリーナ”とは、エミリア・ロマーニャ地方で生パスタを作る働き者の女性のこと。
料理は世界三大美味と白トリュフの特別コースを予約している。
まずはスプマンテ。
ヴェネト州のボルゴ・アンティコが造る、ボルゴ・アンティコ、コネリアーノ・ヴァルドッピアーデネ、プロセッコ・スペリオーレ、ブリュット、ミッレジマート、2019年。
裏のエチケットを見ると、D.O.C.G.でミッレジマートのプロセッコだ。
アルコール度数は11.5%と少し低め。
甘い果実の香り、洋梨、青りんご、グレープフルーツのニュアンス。
果実味と切れの良い酸、しっかりしたミネラルのバランスが良い。
これは美味いスプマンテだ。
ミネラルウォーターは、スルジーヴァ、フリザンテ。
川﨑透シェフから、「今年も来ていただきありがとうございます」とメッセージが届く。
一年に1~2回しか来ないのに覚えてくれているとは恐縮してしまう。
彼女と過ごす六本木のイタリアン、『ラ・スフォリーナ』での楽しい午後は続きます。