銀座のフレンチ・レストラン、『アルジェント』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
メインダイニングではテーブルの数が大幅に間引きされている。
開店と同時に入店したので客は私達だけだったが、一時間半も経つと、店は満席となった。
やはり鈴木シェフの料理は人気なのだ。
岐阜県産鮎、蓼酢、タプナード。
藁の薫香がテーブルに漂う。
クロッシュの中には、香ばしい鮎。
魚料理に合わせて飲んでいるのは、ルイ・ジャド、シャサーニュ・モンラッシェ、プルミエ・クリュ、アベイ・ド・モルジョ、2009年。
鮎の周りには、蓼のソースとブラックオリーブのタプナード。
巻いた鮎の身の中には、鮎の肝のソース。
この苦味が堪らなく美味い。
赤ワインは、シャトー・ロワラン、サンテミリオン グラン・クリュ、2009年。
「今夜はサンテミリオンなのね、嬉しいわ」と彼女。
ロワランとは、”王家の庭園”という意味。
彼女がサンテミリオンで一番好きなのは、シャトー・アンジェリュス。
このシャトー・ロワランはシャトー・アンジェリュスに隣接しているのだ。
濃厚な果実の凝縮感、強くシルキーなタンニン。
カシス、プルーン、薔薇のニュアンス、そして長い余韻。
アルコール度数は14%と高いが、果実味が強いのでアルコールアタックは感じない。
セパージュは、メルロー80%、カベルネ・フラン20%。
肉料理に合わせ、新しいフォカッチャが届く。
イカスミとブラックオリーブのフォカッチャが美味い。
ヨーグルトと発酵バターのホイップバターを合わせて食べるとパンが進む。
黒毛和牛のロティ、トウモロコシ。
トウモロコシはあるが、肉が無い。
トウモロコシの皮を持ち上げると、中にはトウモロコシ。
そしてその下には、レアで焼かれた黒毛和牛。
添えられたフライドライスのサクサク感も素晴らしい。
濃厚な旨味の黒毛和牛とシャトー・ロワラン、幸せな組み合わせに二人ともしばし無口で食べて飲み進む。
テーブルに映る影からも、ロワランの濃厚さがわかる。
ダウンライトにかざすと、綺麗な像が現れた。
粘度が高く、アルコール度数も高い。
デセールは、”バナナ”。
バナナのキャラメリゼとキャラメルのムース。
添えられたショコラもナッツも美味しく楽しい。
〆は濃いコーヒー。
ミニャルディーズは、ショコラのマカロン。
この葉っぱが何の葉っぱか気になったが、聞くのを忘れた。
食事を終えると、9階のメインダイニングから8階のレセプションに内階段を下る。
ここにはベルナール・ビュフェの作品が数多く飾られている。
これは彼の代表作の一つ、エスカミロ。
「カルメン」に登場す大闘牛士だ。
銀座のフレンチの名店、『アルジェント』で彼女と過ごす素敵な夜でした。