銀座のフレンチ、『アルジェント』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
福岡県糸島特撰本鰆、深谷葱とフォアグラのグリエ、焼味噌のポアン。
焼き色は、ほんのり桜色。
この鰆、旨味がぎゅっと詰まって美味い。
糸島特撰本鰆は糸島漁協のブランドで、高鮮度処理された鰆のこと。
一本釣りした2.5kg以上の鰆を活き締めし、海水氷で6時間冷却する処理を施すと、鮮度が良く旨味成分が凝縮されるのだそうだ。
淡白な旨味の鰆と、濃厚な味のフォアグラの組み合わせが面白い。
焼味噌の香りも食欲を誘う。
料理に合わせて飲んでいるワインは、ロワール、サンセールのアルフォンス・メロが造る、サンセール、エドモンド、2010年。
サンセール最高峰のエドモンドは至福の美味しさ。
グラスをどんどん重ねてしまい、既に5杯目。
赤ワインも素晴らしいボトル。
スッド・ウエスト、マディランの帝王、アラン・ブリュモンが造る、シャトー・モンテュス、2000年。
アラン・ブリュモンはマディランの地ぶどう、タナから造られるワインを世界レベルに高めた人物。
その功労に対し、フランス最高勲章、レジオン・ドヌールを授与されている。
タナの語源がタンニンであるように、タナ100%のワインは重くタンニンが強すぎて飲みにくい。
しかしシャトー・モンテュスは、強いボディを持ちながら、エレガントでバランスが素晴らしい。
20年の熟成を経て、タンニンは果実味に綺麗に溶け込んでいる。
サンセールのソーヴィニヨン・ブランとマディランのタナの並行飲み。
こうして飲むと、それぞれが一層美味しく感じる。
山形牛のロティ、黒マー油とヘーゼルナッツのコンディメント、黒ニンニクとともに。
焼き色が素晴らしい。
黒マー油とヘーゼルナッツの薬味を付けて食べても良いし、黒ニンニクのピューレを付けて食べても美味しい。
華やかな春満載のデセールが届く。
イチゴのシャンパンマリネ、八女茶のムース、梅アイス。
梅アイスが宙に浮かんでいるように見える。
添えられているのは、桜。
イチゴの下には緑の八女茶のムース。
梅アイスをグラスの中に落として食べる。
「今夜の鈴木シェフの料理も楽しいわね」と彼女も嬉しそう。
シャトー・モンテュスが美味いので、デセールの後もしばらく飲み続ける。
もちろんエドモンドも一緒に並行飲み。
コーヒーとミニャルディーズが届く。
桜のマカロンと、抹茶の生チョコレート。
今夜は本当に春尽くしの料理だ。
気が付くと、満席だったメインダイニングには私達を含めて三テーブルの客が残るだけとなっている。
窓の外はマロニエ通りに立ち並ぶビル。
独特のフォルムは、V88ビルディング、旧デビアス銀座ビルディングだ。
そして宝石を散りばめたようなビルは、ミキモト。
店内には至る所にベルナール・ビュフェの絵画。
この絵は、「カルメン:エスカミリオ」。
エスカミリオはカルメンに登場する闘牛士。
「エスカミリオ」と対を成す「カルメン:カルメン」の絵は、8階のエントランスに掛けられている。
この二枚は別々に飾るのではなく、顔が向き合った位置に並べて置いてもらいたいと思う。
『アルジェント』を出ると、彼女の朝食用のサラダを買いに、有楽町駅のファミマに向かう。
買い物を済ませると、銀座マリオン方面に散策。
しばらく夜の銀座を楽しむことにしよう。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けていきました。