三月末のこと、彼女と銀座のフレンチで待ち合わせ。
銀座通りからマロニエ通りに入り、さらに並木通りの角を左折。
今夜のレストランはこのビルの中。
ここの地下には『マイハンブルハウス東京』があり、何度も訪問したが、昨年9月に閉店してしまった。
シンガポールの本店にも行くほどここのスタイリッシュなモダンシノワが好きだったので、残念だ。
そう言えば、1階のバーバリーも移転してしまった。
8階でエレベーターを降りると、そこはもう『アルジェント』。
ビルの最上階の9階にメインダイニングとホールがあり、8階にはレセプション、ウエイティングバーと個室がある。
ウエイティングスペースで、彼女の到着を待つ。
ここは元々はイタリアンの『アルジェントASO』で、その当初からの長いお付き合い。
昨年にフレンチの『アルジェント』としてリニューアル・オープンした。
料理長に就任した鈴木健太郎シェフの料理は創意工夫に富み、素晴らしいのだ。
彼女が到着し、内階段を上って9階のメインダイニングに進む。
コロナウイルスの影響で世の中は自粛ムードだが、テーブル数を減らしたダイニングは満席の予約とのこと。
今夜は窓際の眺めの良いテーブル。
鈴木シェフがどんな料理を用意してくれているのか楽しみだ。
今夜のスタートは、シャンパーニュ。
サロンの姉妹メゾン、ドゥラモットが造る、シャンパーニュ、ブリュット、プール・ヒラマツ。
本拠地をシャルドネの聖地、ル・メニル・シュール・オジェ村に置く、1760年創業の老舗。
素晴らしい泡立ち。
柑橘系の爽やかな香り、豊かな果実味、後味にはブリオッシュや炒ったナッツのニュアンス。
セパージュはシャルドネ50%、ピノ・ノワール30%、ピノ・ムニエ20%で、瓶内熟成期間は36ヶ月と長い。
アミューズが届く。
今夜の料理も鈴木シェフの遊び心満載。
空豆のニョッキとトリュフのクロケット。
オマール海老のエマンセ、フロマージュブランとキャビア、アーモンドの香り。
空豆のニョッキは香ばしく焼き上げられている。
黒トリュフのクロケットは、見た目は黒トリュフそのもの。
香りが素晴らしい。
フロマージュブランの中には、たっぷりのオマール海老。
アーモンドミルクが加えられているので、香りが良い。
今夜の白ワインは素晴らしいボトル。
ロワール、サンセールのアルフォンス・メロが造る、サンセール、エドモンド、2010年。
ロワール右岸のプイィ・フュメの最高峰がバロン・ド・エルなら、左岸のサンセールの最高峰はこのエドモンド。
アルフォンス・メロはサンセールを代表する造り手で、19代続く名門。
強い熟成感、溢れるばかりの果実味、活き活きとしたミネラル、複層的なストラクチャーを持つ素晴らしいボディだ。
サンセール最上の畑と言われるラ・ムシエールの、樹齢50~90年の区画のソーヴィニヨン・ブラン100%で造られている。
リードヴォーとプティポワ、八朔ヴィネグレット。
香ばしく焼かれたリードヴォーが美味い。
八朔のヴィネグレットにはマスタードが加えられている。
何故か蛍烏賊。
不思議な組み合わせだが、季節感はある。
熱々のパンも届く。
今夜のパンのお供はバターではなく、E.V.オリーブオイル。
オリーブオイルが注がれたときに銘柄を見ると、好きなものだった。
スペインのアレクシス・ムニョスが作る、フルーティー・グリーン・エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル、ピクアル。
アンダルシア州のピクアル種のオリーブ100%で作られている。
この写真は昨年マリオット東京で撮影したもの。
銀座のフレンチ、『アルジェント』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。