広尾の二人のお気に入りのイタリアン、『トラットリア・ミケランジェロ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
今夜の料理のテーマは、ピエモンテ州。
アンティパスト・フレッドを二皿食べた後は、アンティパスト・カルド。
メヒカリのカルピオーネと、カプネット。
カルピオーネは、エスカベッシュ、南蛮漬けのこと。
カプネットは、ピエモンテ州のロール・キャベツのようなもの。
茹でた縮緬キャベツの葉の中で、豚肉のサルシッチャ、ホウレン草、茄子、モッツァレラ等を巻いた料理。
二人の皿に盛りつけるのは私の役目。
なかなか綺麗に盛り付けることができた。
メヒカリは存在感がある。
今夜の前菜三皿もどれも美味いので、白ワインが進む。
確かこれでもう5杯目。
飲んでいる白は、ピエモンテ州のフラテッリ・ジャコーザが造る、ガヴィ、DOCG、2018年。
コルテーゼで造られるガヴィは、好きなワインだ。
第一のパスタは、アニョロッティ・ダル・プリン。
ピエモンテ州の詰め物パスタだ。
ピエモンテ州の詰め物パスタで、”プリン”とはピエモンテ州の方言で”つまむ”という意味。
指でつまんで詰め物をして作るパスタだ。
中には仔牛と鴨の挽き肉がぎっしり詰まっている。
赤ワインは、ピエモンテ州のカ・ヴィオラが造る、ドルチェット・ダルバ、ヴィロット、2016年。
カ・ヴィオラは、イタリアの著名なエノロゴ、ジュゼッペ・カヴィオラが自ら経営するワイナリー。
ドルチェットはバルベーラに較べ、酸が少なくタンニンが強いことから野暮ったいワインになりがちだが、このドルチェットはとても洗練されている。
フレッシュな果実味を持ちながら、タンニンは円やか。
さすが著名なエノロゴの手によるドルチェットは美味い。
ガヴィ(コルテーゼ)とドルチェットの並行飲み。
フォカッチャが美味しいので、お代わり。
二皿目のパスタは、タヤリン、セージ香るバターソース。
タヤリンの上には、黒トリュフとペコリーノチーズ。
よくかき混ぜて、二人の皿に取り分ける。
もっちりとしたタヤリンに濃厚なバターソースが良く合う。
今夜は黒トリュフだが、タヤリンを食べると白トリュフが欲しくなる。
ブラザート・アル・バルバレスコ。
牛肉をバルバレスコに漬け込んで煮込んだ料理。
ブラザートとは炭という意味で、肉の煮込み料理のこと。
摩り下ろした胡椒の香りが素晴らしい。
ピエモンテを代表する高級ワインのバルバレスコで煮込むとは、贅沢な料理だ。
下に敷かれているのは、ジャガイモのピューレ。
バルバレスコではないが、ドルチェットと良く合って美味い。
ドルチェットのグラスがさらに進む。
思ったより肉厚。
口の中でとろける美味しさ。
ドルチェは、ボネ・ピエモンテと、カシスとゴルゴンゾーラのセミフレッド。
ボネ・ピエモンテは、チョコレート風味のプリン。
ピエモンテ州、トリノの名物で、ボネ(ブネ)はピエモンテの方言で帽子の意味。
砕いたアマレッティ(アーモンド粉の焼き菓子)がたっぷり入っているのが特徴。
カシスとゴルゴンゾーラのセミフレッド。
添えられているのは、チョコレートのウエハース。
今夜のドルチェはどちらも大人の味。
〆は、イタリアンローストのコーヒー。
「今夜の料理も美味しかったわ。ありがとう。ピエモンテに行きたくなっちゃうわね」と彼女。
「新型コロナウイルスが終息したらね」と私。
満腹満足でお店を出ると、外苑西通りを渡り、ファミマに彼女の朝食用のサラダを買いに行く。
振り向くと、『カフェ・ミケランジェロ』が明るく輝いている。
彼女と過ごす広尾の夜は楽しく更けていきました。