白金高輪の人気のフレンチ、『ラ クープ ドール』でちぃさんと過ごす楽しい夜の続き。
赤ワインは持ち込ませてもらった。
ストーンヘッジ、メリタージュ・リザーヴ、ナパ・ヴァレー、2014年、No.780。
ストーンヘッジのメリタージュはカリフォルニアで超人気のワイン。
カリフォルニアにはヴァラエタル・ワインが多い中で、多くの種類のぶどうをブレンド(メリタージュ)して複雑な味わいを出している。
樽ごとにぶどうの品種や熟成方法が異なるので、商品名に樽のロットNo.が付けられている。
ちぃさんと乾杯。
久し振りに飲む、濃厚なナパのワイン。
完熟したプラム、ビターチョコレート、スミレ、バラ、なめし皮、ヴァニラのニュアンス。
ソムリエでもある伊佐支配人にもテイスティングしてもらい、テイスティング・ノートを述べあうのも楽しい。
ぶどうは何がメリタージュされているのかと考えていたら、ボトルの裏に記載されていた。
セパージュは、カベルネ・フラン31%、カベルネ・ソーヴィニヨン27%、メルロー16%、マルベック15%、プティ・ヴェルド11%と複雑。
アルコール度数は14.5%と高い。
一本目のシャンパーニュ、キュペルリーと、二本目のメリタージュのコルク。
どちらも状態はとても良い。
鱸のポワレ、ヤリイカのロティ、ヤリイカの肝のソース。
皮をパリっと焼かれた鱸が香ばしい。
ソースはヤリイカの肝のソースとプティプワのソース。
ソースだけでなく、ヤリイカの身もちゃんと添えられている。
私の肉料理は、ハンガリー産鴨もも肉のコンフィ、温州ミカンのローストと人参、ビガラードソース。
鴨にオレンジは定番メニューだが、今夜はオレンジの代わりに温州ミカンが使われている。
温州ミカンの香りが素晴らしく、テーブルに置かれるとふわりと漂う。
じっくりとコンフィされた鴨肉が柔らかく美味い。
ハンガリーはフォアグラの生産大国で、日本に輸入されるフォアグラの大部分はハンガリー産。
だから鴨肉も豊富なのだ。
ビガラードソースはオレンジを使った鴨料理用のソースだが、今夜は温州ミカンで作られている。
ちぃさんが選んだ肉料理は、群馬県産せせらぎポークのロースト、シェリービネガーと蕗の薹のソース。
焼き色が桜色で美しい。
蕗の薹のソースとは、苦みがあって春を感じさせる演出だ。
メリタージュはとても濃厚なのだが、ダウンライトにかざすと微かだが光の像を結んだ。
久し振りの濃厚なナパが美味い。
デセールは、紅玉林檎のロティとメイプルアイス、ほうじ茶とキャラメルクリームを合わせて。
想像と異なり、アップルパイの変形といった感じ。
アイスクリームとソースの控え目の甘さが林檎の味を引き立てている。
ミニャルディーズは二種。
生チョコレートとギモーヴ。
生チョコレートは口に含むと甘くとろけてしまう。
ギモーヴは目の前で小さなバーナーで炙られ、焦げ目がついたところでパクリといただく。
ピントがボケた意味不明の写真は、酔っている証拠。
伊佐支配人に見送られ、満ち足りた想いで店を出る。
坪香シェフはまだ忙しく料理の真っ最中だったので、厨房内に手を振って挨拶を交わした。
実はこの日の前夜、白金高輪のフレンチとシャンパーニュの名店、『オレキス』から移転に伴う一時休業のお知らせが届いていたのだ。
そこで急遽、『オレキス』を訪問。
伝説的グランメゾン、『ザ・ジョージアンクラブ』のマネジャー兼ソムリエを務めていた春藤さんがこの地に『オレキス』を開業されたのは、2007年の4月。
春藤さんとはもう随分長いお付き合いとなる。
ここに来れば、シャンパーニュ。
何時も珍しいボトルを楽しむことが出来る。
東京都の都市再開発事業の一環で、面する道路が拡張されることとなり、立ち退きを余儀なくされたのだそうだ。
良い場所が見つかり、早く再開されることを祈るばかりだ。
ジ・ピエロン・レグリーズ、ブリュット、ブラン・ド・ブラン、グラン・クリュ。
シャルドネの聖地、コート・デ・ブランの傑出したグラン・クリュ、オジェ、アヴィーズ、ル・メニル・シュール・オジェの100%自社畑のシャルドネを用いて造られている。
ぶどう栽培はリュット・レゾネで、ドサージュは8g/ℓ。
ちぃさんと乾杯。
春藤さんとの話も弾み、とても楽しい夜。
コート・デ・ブランのグラン・クリュ畑のブラン・ド・ブランは流石に美味い。
繊細でエレガントなシャンパーニュだ。
今夜は始まりも終わりもブラン・ド・ブラン、グラン・クリュとは、素晴らしい夜となった。
白金高輪の夜は素敵に更けていきました。