六本木の邸宅フレンチ、『オーベルジュ・ド・リル トーキョー』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
ここはアルザスで1952年からミシュランの星を維持する名店、『オーベルジュ・ド・リル』の東京店。
ラングスティーヌのクロックムッシュ、茄子のピューレとトマトのコンディメント。
これはお洒落な盛り付け。
クロックムッシュの中には、ラングスティーヌの身がぎっしり。
二種類目の白ワインは、ロワール。
アルフォンス・メロが造る、サンセール・ブラン、ラ・ドモワゼル、2010年。
アルフォンス・メロはサンセールで19代続く名門。
プイイ・フュメのドゥ・ラドゥセットと並び、ロワールを代表する素晴らしい造り手だ。
柑橘系の爽やかな香り、口に含むと果実の素晴らしい凝縮感と活き活きとしたミネラル。
ラ・ドモワゼルはシレックス土壌の畑で、ソーヴィニヨン・ブランの樹齢は50年以上。
ぶどう栽培はビオディナミ。
鱸のポシェ、モンサンミッシェル産ムール貝と冬瓜のエチュベ。
肉厚の鱸は茨城産。
蒸し煮にはポシェ、プレゼ、エチュベがあり、水分の中で低温で煮るのがポシェ、水分を少し入れて密封容器で蒸し煮にするのがプレゼ、素材の水分だけで蒸すのがエチュベ。
この一皿で二通りの蒸し煮の方法が使われている。
白ワイン二種類の比較飲み。
右がアルザスのトリンバック、ピノ・グリ、左がロワールのアルフォンス・メロ、サンセール。
赤は強いワインが出された。
スッド・ウエストの人気の造り手、ドメーヌ・アラン・ブリュモンの、マディラン、シャトー・モンテュス、キュヴェ・プレステージ、2000年。
アラン・ブリュモンはマディランの帝王と呼ばれ、マイナーなぶどうだったタナを世界で評価されるレベルに育て上げたことから、フランス最高勲章、レジオン・ドヌールを授与されている。
シャトー・モンテュス、キュヴェ・プレステージュはアラン・ブリュモンのフラッグシップであり、50年間の熟成に耐えるワインと言われている。
私も2年ほど前に80年代を飲んだことがあるが、まだまだ若々しくて美味しかった。
ぶどうはタナ100%で、タナの語源がタンニンであることからもわかるように、強いタンニンを持つ。
プラムやカシスのコンフィチュールのような強い果実味を持つため、豊かなタンニンとも上手く調和し、パワフルだが洗練されたボディを形成している。
ワイン三種の飲み較べ。
やはりモンテュスが強すぎるので、白を飲み干してから赤を飲むことにしよう。
シャラン産鴨胸肉のロティー、椎茸のファルシー、柿のピューレ、ソース・ヴェルジュ。
シャラン産の窒息鴨の身は柔らかく美味い。
鴨にはモンテュスは強すぎるのではと思ったが、鴨が上質なのと、19年の熟成を経てモンテュスのタンニンが上手く果実味に溶け込んでいるので、美味しく合わせることができる。
プレデセールは、ヨーグルトクリームとロゼワインのゼリー。
果物を封じ込めたロゼワインのゼリーが可愛い。
デセールは、マロンクリームとビターチョコレートのエクレア、モンブラン仕立て。
マロンクリームがたっぷり入っているので、エクレアでありながらモンブランのような美味しさも楽しむことが出来る。
〆のコーヒーがいっぱいになったお腹を癒してくれる。
「今夜も満足。美味しかったわ、ありがとう」と彼女。
「帰りに寺田シェフに今夜の料理の感想とお礼を伝えることにしよう」と私。
お腹はいっぱいでも、ミニャルディーズまで完食。
彼女と過ごす六本木のフレンチ、『オーベルジュ・ド・リル トーキョー』の夜は素敵に更けていきました。