彼女と楽しむ富山の旅の続き。
山を下る”上り電車”に乗車し、再び黒部渓谷の眺望を楽しむ。
行きの電車は臨時列車だったので比較的空いていたが、帰りは通常ダイアの列車なのでかなりの乗車率。
帰りは観る方向が変わるので、行きとは違った景色を楽しむことが出来る。
黒部川第二発電所の右奥に見える絶壁は、ねずみ返しの岩壁。
線路の山側には「冬季歩道」と表示された、ところどころに四角い穴の開いた不思議なコンクリートの壁。
冬には積雪で鉄道は運休となるので、発電所に行き来する関西電力の職員は、この壁の中にある通路を歩いて通うのだそうだ。
今はまだ緑に覆われているが、あと二か月半後には雪に覆われて運行は休止となり、4月までの長い冬眠に入るのだ。
一時間弱の旅を経て、宇奈月まで降りてきた。
奥に見えるのは、宇奈月温泉。
黒部渓谷鉄道の宇奈月駅を出ると、歩いて富山地方鉄道の宇奈月温泉駅に向かう。
来た時には気付かなかったが、ここには”駅の足湯”があるのだそうだ。
何人かの方が足湯を楽しまれている。
時間があれば利用したいが、発車時間が迫っているので諦める。
富山地方鉄道、あいの風とやま鉄道を乗り継いで富山駅に戻ると、「きときと市場とやマルシェ」でお土産を買い、昼食をとることにする。
富山のお土産を販売するお店がいっぱい。
彼女がお土産を買っている間、私は飲食店を探索。
おや、ここにも富山ブラック発祥のお店、『西町 大喜』が入っている。
これが元祖富山ブラック。
食べたい気もするが、昨夜別のお店で食べたのでパス。
鮨屋もあるが、昨日のお昼に食べたので、ここもパス。
選んだのはこちら、『とやま方舟』。
”日本酒スローフード”と書かれているのが気に入った。
カウンターに座ると、目の前には日本酒セラー。
富山の銘酒がずらりと並ぶ。
メニューを開くと、富山の20の酒蔵の名前が並ぶ。
そしてカウンター上には飲み較べセットの案内。
富山で最後に飲むのは秋の酒、ひやおろしと決めていたので、迷うことなく注文。
酒を注いだグラスは名前を記した紙の上に置かれ、その後ろには一升瓶を並べてくれた。
「貴方はどの順番で美味しいと思うか教えて」と彼女。
「僕は越中懐古、曙、若駒の順だね。君は?」と私。
「私は、一番好きなのは越中懐古で、次は曙で、その次は若駒」
「あれ、僕と同じじゃない」
「だから嬉しいの♪」
彼女は少し酔っているようだ。
氷見市の高澤酒造場が醸す、有磯曙 初嵐 特別純米 ひやおろし。
使用米は、氷見産富の香り、福光産五百万石。
魚津市の本江酒造が醸す、北洋 越中懐古 純米 ひやおろし。
使用米は雄山錦。
前日、羽田空港のラウンジで飲んだ酒がまさに越中懐古の純米酒だったので、旅の始まりと終わりが同じ酒とは面白い。
南砺市の若駒酒造場が醸す、若駒 純米酒 ひやおろし。
食事は、ランチメニューの中で一番豪華な海老二種海鮮丼を注文。
生のボタン海老、生の白えび、白えびの天麩羅が入っている。
味噌汁の中には魚のあらがたっぷり。
『とやま方舟』でのんびりしすぎ、富山駅発の空港直行バスに走り込みセーフで乗車し、富山きときと空港に到着。
富山空港内にはラウンジが無いので、売店でお土産物を見て時間を潰す。
いよいよ搭乗時間、ブリッジに隠れて飛行機は尾翼しか見えない。
あっという間に羽田空港に到着。
羽田の空は淡い茜色。
彼女と過ごす、楽しい富山の旅でした。