九月のある日、彼女が富山に行きたいと言い出した。
新潟も金沢も行ったことがあるが、富山には行ったことが無いのだそうだ。
そこで、その場で週末のANAのフライトを予約し、帰宅後富山市内のホテルも予約した。
実は私も富山には出張で一度行ったことがあるだけ。
そこで翌日、日本橋にある富山県のアンテナショップ、「日本橋とやま館」を訪問し、情報収集することにした。
ここに来ると、富山に行くことの現実味が高まってくる。
手前のスペースでは、富山の工芸品の展示会が行われている。
奥の部屋には各種の名産品が並ぶ。
手前には鱒寿司、奥には日本酒。
富山の地酒の知識を仕入れておく。
20の酒蔵があるそうだが、写真は何故か18種類。
飲んだことがある銘柄は、半分の9種類。
これは面白い。
各蔵の名前が刻印された桝が並んでいる。
観光案内のブースに行くと、とても素敵な女性が迎えてくれた。
コンシェルジュの寺田さんにご相談し、観光のコースを組み立て、飲食店の推薦をいただく。
寺田さんは海外経験も豊富で、色々な国への旅の話しで盛り上がる。
今年クロアチアを訪問したとお話しすると、何とザグレブに三年間住んでいたことがあるのだそうだ。
最後には富山県美術館に割引で入館できるカードもいただいた。
これで旅の準備は出来た。
寺田さんに親切な対応と楽しいお話しの礼を述べ、「日本橋とやま館」をあとにする。
良い天気なので、ちょっと街歩きをし、寄り道をすることにする。
日本橋を渡る時には、毎回麒麟像を撮影してしまう。
今日は時間があるので、日本橋を横から撮影してみる。
この位置に高速道路を造るセンスが本当に信じられない。
早く撤去してもらいたいと思う。
中央通りを進み、京橋を抜け、銀座に至る。
向かった先は、ギンザシックス。
目的のお店は、『エノテカ』。
試飲コーナーでワインを軽く一杯飲んで帰ることにしたのだ。
日本橋から銀座まで歩いてきて喉が渇いたので、選んだのは泡。
チリでミゲル・トーレス・チリが造る、サンタ・ディグナ・エステラード、ブリュット、ロゼ。
スペイン・ワイン界の雄、トーレスがチリで造るワインだ。
ミゲル・トーレス・チリの設立は1979年と古く、欧州ワイナリーとして初めてのチリ進出だった。
フランボワーズやクランベリーの赤い果実の香り。
キリリと引き締まった爽やかなボディが心地よい。
ぶどうはチリの土着品種、パイス100%。
色々なワインコンクールで、数々の受賞歴を持つワインなのだ。
いただいた飲食店のパンフレットを検討し、お店を絞り込む。
一杯だけ飲んで帰るつもりだったが、赤も飲みたくなった。
フランス、ラングドック・ルーション地区のジェラール・ベルトランが造る、コルビエール・ブートナック、ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー、2016年。ジェラール・ベルトラン氏はラグビーの元フランス代表選手。
父親の40haの畑を引き継ぎ、今では500haの畑と7つのワイナリーを有する南仏屈指の造り手となっている。
プラム、赤果実のジャム、スミレ、タバコの葉、コーヒーのニュアンス。
とても濃い果実の凝縮感を持つが、重すぎずバランスが良い。
ぶどうは、カリニャン、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルで、樹齢は50~60年と高く、栽培はビオディナミ。
外に出ると、四丁目交差点の上に青空が広がっている。
今日はおとなしく帰宅し、旅行荷物の準備をすることにしよう。