八月下旬のこと、馬喰町駅で彼女と待ち合わせると東日本橋方面に向かう。
そして着いた場所は、やげん堀。
この先に薬研堀不動院がある。
この通りの名前は、不動院通り。
不動院通りが柳橋通りに交わるところに、今夜のお店、『Mille(ミレ)』がある。
今年の四月にオープンしたばかりの新しいフレンチなのだ。
店内は結構広いが、使われているのはカウンターのみ。
シェフがお一人でやられているお店なので、客数を絞っているのだろう。
カウンター前のオープンキッチンでは、オーナーシェフの千葉稔生さんが忙しく立ち働く。
メニューは目の前に置かれた黒板。
彼女と相談しながら、料理を選ぶ。
ここにはワインリストが無いので、好みを伝え、シェフに選んでもらう。
出された三本のワインの中から選んだのは、コート・デュ・ローヌの注目の若手自然派醸造家、ニコラ・ルノーが造る、ル・クロ・デ・グリヨン、プリモ・サンソ、ブラン、2018年。
このお店のワインは、全て自然派。
このワインもぶどう栽培はビオロジックで、自然酵母が使われている。
南国のフルーツを感じる濃厚な果実味。
綺麗なバランスのワインだが、温度が上がってくると重くなるので、温度は低めで飲んだ方が美味しいようだ。
ぶどうは、ヴィオニエとグルナッシュ・ブラン。
アミューズは、それぞれ好きなものを注文。
彼女が選んだのは、玉ネギとベーコンのファーブルトンサレ、白玉ネギのヴァバロア、エダマメのエクレア、サバのリエット。
私のアミューズは、サバのリエット、白レバーのブリュレ、エダマメのエクレア。
「あら、貴方は三種類だったのね」と、彼女がファーブルトンサレを半分に切って私にくれた。
エダマメのエクレアは流行なのだろうか。
最近、代官山の『レザンファン・ギャテ』と、銀座の『アルジェント』でも食べたが、どちらもエクレアの皮はグリーンだった。
白レバーのブリュレ。
香ばしく炙られた白レバーが美味い。
サバのリエット。
サバの臭みがなく、濃厚で滑らかなリエットが素晴らしい。
東日本橋の新しいフレンチ、『Mille』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。