クロアチア、ドゥブロヴニク、グルージュ港の人気のシーフードレストラン、『ビストロ・グロリイェット』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
ドゥブロヴニク旧市街のレストランは観光客向けだが、ここは地元の人に人気のお店。
アドリア海で獲れた海の幸を中心としたお店なのだ。
メニューブックの中に、英語表記のお店の紹介を見付けた。
お店が出来たのは2000年代初頭だが、この建物自体は1527年にドゥブロヴニク貴族のサマーハウスの倉庫として建設されたものなのだそうだ。
そしてこのお店は、地元の食材とワインを、地元住民のために、ドゥブロヴニクやダルマチアの伝統料理を重んじながら提供することを目指しているのだそうだ。
前菜は、オクトパス・サラダ。
トマト、ケッパー、レッドオニオン、オリーブ、そして小蛸がいっぱい入っている。
シンプルなオリーブオイルとビネガーの味付けが美味しい。
でも、兎にも角にも量が多く、食べても食べても無くならない。
スパークリング・ワインを飲み干すと、地元産の白ワインを抜栓。
ミリジッチが造る、マルヴァジア・ドゥブロヴァチカ、2017年。
マルヴァジアは地中海一帯で幅広く生産されるぶどう品種で、クロアチアの白ワインの中心的品種のひとつ。
豊かな果実味を持ちながら、酸味とのバランスが良い綺麗な辛口。
これはシーフードに良く合う。
タイガー・プラウンの素焼き。
シンプルな料理だが、海老が新鮮なので美味い。
シーバス。
思ったより、というより値段の割に小振り。
ナイフとフォークで三枚におろし、彼女の皿に盛る。
「貴方って本当に器用ね。とっても素敵よ」と彼女に褒められ嬉しくなる。
イカ墨のリゾット。
このお店の名物料理だ。
今までに食べたイカ墨のリゾットの中で一番美味しいかもしれない。
パルメザンチーズの粉末も届く。
最初はプレーンで食べ、二皿目はたっぷりチーズを振りかけて食べる。
最高に美味。
アーチ状になった天井は煉瓦造り。
元々は倉庫として造られたことがよくわかる。
もう夜も遅くなったのだが、外にはまだ明るさが残る。
満席だったお店も、ほとんど客が居なくなった。
隣のテーブルに居たアメリカ人の四人家族は、ハンバーガーを食べていた。
ハンバーガーがメニューにあることも驚きだが、ここまで来てハンバーガーを食べるアメリカ人の食文化の乏しさも悲しい。
お店を出ると、ちょうど陽が落ちるところ。
「お腹がいっぱいだから歩いて帰りましょうよ」と彼女。
ホテルまで近いと思っていた。
ところが、階段を上っても上っても、さらに階段が続く。
後ろを振り返ると、上ってきた階段が果てしなく続いている。
300段ほど登ったところで地元の方に出会う。
「ホテル・アドリアに行きたいのだけど、もう近いのでしょうか」と私。
「え、港から歩いてきたの。まだ300段以上階段を上らなきゃならないよ」とのこと。
階段はどんどん急勾配となり、二人とも無言で上り続ける。
港の船がだんだん小さく見えるようになった。
ここに住んでいる人は、健脚揃いに違いない。
やっとホテルに面した道路に着いた。
「港が綺麗ね」と彼女。
穏やかなアドリア海に島々が点在し、港に停泊した豪華客船の明かりが輝いている。
汗だくになり、ようやくホテルに到着。
道路に面したレセプションとレストランがあるフロアーは、0階。
この下の-1階から-6階が客室で、私達の部屋は-3階。
部屋に戻ると、テラスに出てアドリア海とグルージュ港を眺める。
部屋数は多いが、海が見渡せるテラス付きの部屋は少ない。
今回は幸いなことに最上の部屋を確保することができた。
ドゥブロヴニクでの素敵な旅は続きます。