西麻布の”もうひとつの何時ものフレンチ”、『レストランひらまつ レゼルヴ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
今夜のディナーのテーマは、ジュラ地方。
ジュラと言えば、ヴァン・ジョーヌを外すことはできない。
オーギュスト・ピローが造る、ヴァン・ジョーヌ、アルボワ、2011年。
ジュラ地方特産の黄色いワインである。
樽熟成時に空気(酸素)に接触させることにより産膜酵母を活性化させ、ワインの表面に被膜(フルール・デュ・ヴァン)を形成させる。
このフルールによってワインは黄色くなり、独特の風味を生み出す。
樽熟成期間は6年間と長く、この間の60ヶ月以上はウイヤージュ(目減り分の補填)もスーティラージュ(澱引き)も一切行わないため、樽の三分の一程度まで減ってしまう。
ボトルはクラヴランという620mlの独特なものが使われている。
確かに色が濃い。
飲んだ感じはシェリーだが、酒精強化はされていないので、アルコール度数は13%ほど。
ぶどうはサヴァニャン100%で、品質を維持するため良いぶどうが収穫できない年には生産されていない。
プレ・ジョーヌとモリーユ茸の軽い煮込み、ヴァン・ジョーヌ風味。
プレ・ジョーヌとは、黄色い鶏。
トウモロコシの配合比率の高い飼料で育てられ、皮と脂身が黄色味を帯び、ローストすると黄金色になるのが特徴。
プレ・ジョーヌとモリーユ茸はとても良く合う。
そしてソースにもヴァン・ジョーヌが使われている。
今日のバゲットは特に美味しく感じる。
焼き立てを一切れ追加。
ヴァン・ジョーヌを飲む機会はそうはない。
二杯目もゆっくり味わいながら飲む
実に味わい深いワインだ。
ディジェスティフが届いたが、まだヴァン・ジョーヌの三杯目を飲んでいる。
こうして並べてみると、ヴァン・ジョーヌと濃厚なデザート・ワインの色がほとんど同じだ。
今夜のディジェスティフもジュラの珍しいワイン。
ドメーヌ・アンリ・メールが造る、ヴァン・ド・パイユ、ラ・ヴィニエール、2004年。
アンリ・メールはジュラを代表する家族経営の大ドメーヌ兼ネゴシアン。
数多くのドメーヌを傘下に持ち、自社畑も300haに及ぶ。
二杯目もだいぶ飲んでしまった。
ヴァン・ド・パイユは藁ワインとも呼ばれる。
遅摘みしたぶどうを藁の上で陰干しし、糖度を高めて使用しているのだ。
ぶどうはヴァン・ジョーヌと同じくジュラ地方の土着品種のサヴァニャン。
デセールは、ヴァン・ジョーヌ香るクレームブリュレ、グラス・ヴァニーユ。
グラス・ヴァニーユは、バニラ・アイスクリームのフランス語。
クレームブリュレにもヴァン・ジョーヌの香りとは、今夜は本当にジュラに徹底的に拘っている。
「今夜も楽しかったわね。でも、ジュラのヴァン・ジョーヌは料理に使うのは好きだけど、飲むのは苦手かも」と彼女。
「ちょっと特殊なワインだからね。でも、普段飲むことはないから、良い勉強になったね」と私。
坂元支配人に見送られ、店をあとにする
今夜も六本木ヒルズまで二人でそぞろ歩き。
66プラザには花の絨毯。
蜘蛛の向こうには何時ものとおり、東京タワー。
そして何時ものとおり成城石井で彼女の朝食用のサラダを何品か購入。
彼女と過ごす、西麻布の”もうひとつの何時ものフレンチ”、『レストランひらまつ レゼルヴ』での楽しい夜でした。