三月末のこと、友人達と『ブラッセリー ポール・ボキューズ銀座』で食べた料理が美味しかったと彼女に話したところ、「私も食べたい」ということになり、訪問。
銀座でお買い物を済ませると、何時ものフレンチに向かう。
開店時間後間もなく到着したので、お店のエントランスにも客の姿は無い。
と思ったら、既に入店している客が居た。
年配の男性たちが楽しそうに話をしている。
同窓会か何かなのだろうか、ここで会を開くのも良さそうだ。
窓の外には、有楽町の丸井と東京交通会館。
今夜の料理とワインは一度経験済。
でも彼女に新鮮な驚きを感じてもらうため、敢えて説明はしないことにする。
まずはロゼのスパークリングで乾杯。
勢いのある泡立ち。
フランボワーズの甘い香り。
そして口に含むと、キリリと引き締まったブリュット。
ヴーヴ・アンバルが造る、クレマン・ド・ブルゴーニュ、ミレジム・ブリュット、ロゼ、プール・ヒラマツ、2016年。
今まではNVのグラン・キュヴェだったが、この春からはミレジムになり、一層パワーアップしている。
色とりどりの春野菜”ジャルニディエール風”、生ハムと爽やかなオレンジの香り。
ジャルディニエールとは花器のこと。
まさに皿の上に花が咲いたようだ。
使われているのは、全て産直野菜。
白っぽい葉物野菜はカステル・フランコ。
イタリアの高級野菜で、ラディッキオ(チコリ)の一種。
ブロッコリーのようなのは、スティック・セニョール(茎ブロッコリー)。
その横はプチヴェールで、芽キャベツとケールの交配種。
他にも、カーリーテール、ラディッシュ、スナップエンドウ、ミニトマト等が入っている。
ソースはアスパラのピューレ、そして野菜の下にはアスパラのフランも。
フランス人のイゴールさんが付ききりでサービスしてくれる。
彼女はフランス語で話しができてとても楽しそう。
イゴールさんがどんどん注いでくれるので、クレマンのロゼは4杯目。
美味しいとはいえ、最初から飛ばし過ぎに要注意だ。
今年になってバゲットの焼きが強くなり、一層美味しくなった。
フランスで作られた生地を冷凍で輸入し、お店で焼いている。
白ワインは、ブルゴーニュのクローディ・ジョバールが造る、リュリー、モンターニュ・ラ・フォリ、2011年。
クローディ・ジョバールはブルゴーニュで注目の女流醸造家。
自らのドメーヌを運営する傍ら、ブルゴーニュの有名ネゴシアン、ルモワスネの醸造責任者を務めている。
アプリコットや桃の香り。
豊かな果実味を持ち、後味にはブリオッシュやナッツのニュアンス。
綺麗な酸とミネラルがボディを引き締めている。
クローディのシャルドネは本当に美味い。
平目のポッシェ、ほうれん草風味のヌイユ添え、ノワイリー風味のサバイヨンソース。
ポッシェした平目をサバイヨンソースでグラタン仕立てにしている。
サバイヨンソースに使われているリキュールは、ノワイリー(ノイリー)のドライ・ベルモット。
真ん中に置かれている平目を切ると、真っ白な肉が現れた。
平目は淡白な味わいなので、サバイヨンソースと良く合う。
中にはたっぷりのほうれん草風味のヌイユ。
ヌイユはイタリアで言えばパスタのこと。
彼女がリュリーをもう少し冷やしてとお願いすると、イゴールさんがアイスバケットを持ってきて、目の前にセットしてくれた。
竹内支配人とイゴールさんが代わる代わる注いでくれるので、何杯飲んだかわからなくなってしまった。
最初のバゲットは、二切れとも私が食べてしまった。
彼女が、新しいバゲットが焼きあがったら持ってきてと頼んでいたので、まだ熱いバゲットとバターが届いた。
焼き立ては美味しいので、私も更に食べてしまう。
今夜はバゲットでお腹がいっぱいになってしまいそうだ。
彼女と過ごす、何時ものフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ銀座』での楽しい夜は続きます。