1月末のこと、彼女と六本木で待ち合わせ。
二人で向かった先は、国立新美術館。
この一度観たら忘れないフォルムは、黒川紀章氏の設計。
美術館の閉館時間前30分の訪問。
18時の閉館後も、館内のレストラン、『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』だけは21時まで営業している。
目指すお店は、この逆コーンの一番上。
エレベーターで三階に上ると、空中に浮かぶレストランが迎えてくれる。
ディナーの時間としては早いので、一番乗り。
松尾支配人に迎えられ、何時ものテーブルに案内される。
店の入口の真反対側、ガラスの壁に面し、東京タワーと六本木ヒルズが見える特等席。
四人用のテーブルに二人のセッティングがされているので、広々と使うことが出来る。
最初のワインは、ヴーヴ・アンバルが造る、クレマン・ド・ブルゴーニュ、グラン・キュヴェ、ブリュット・ロゼ。
「今夜はヴーヴ・アンバルのロゼなのね。嬉しい」と彼女。
彼女はこのキュヴェが好きなのだ。
同じポール・ボキューズでも、銀座とミュゼでは出されるパンが異なる。
銀座ではバゲットだが、ミュゼではフィセルなのだ。
カレー風味の鶏のリエット。
これがパンに良く合って美味い。
フランス産鴨フォアグラのソテー、ポトフ仕立て、色々な根菜とマッシュルームのフランと共に。
真ん中にはソテーされた大きなフォアグラ。
ここは日本の『ブラッスリー ポール・ボキューズ』四店の中で、リヨンの『ポール・ボキューズ』本店の料理を一番忠実に再現している店なのでフォアグラが使われることが多い。
フォアグラの下にフランが隠れていた。
フォアグラは濃厚だが、ポトフ仕立てなので脂を気にすることなく食べることが出来る。
白ワインも彼女が好きな銘柄。
ボルドー、ソーテルヌの、クロ・デ・リュンヌ、キュヴェ・リュンヌ・ダルジャン、2012年。
ペサック・レオニャンの銘醸、ドメーヌ・ド・シュヴァリエのベルナール家がソーテルヌで造る辛口の白。
このワインは2012年がファースト・ヴィンテージ。
重厚で奥の深いストラクチャーを持つ、とても美味しい白だ。
随分多くの2012年VTを飲んだが、どうやらこれが最後だったようで、この次飲んだ時は2013年と2014年になっていた。
セパージュはセミヨン70%、ソーヴィニヨン・ブラン30%で、貴腐葡萄が少量ブレンドされている。
鱸のスフレと有頭海老のポワレ、香草風味のソース・ブールブラン、縮緬きゃべつとベーコンのエチュベ。
スフレ、ポワレ、エチュベの三つの料理法が一つの皿で融合し、素晴らしいバランスを生み出している。
特に塩加減が絶妙で、フランスで食べるフレンチより日本のフレンチの方が繊細で美味いと思う。
国立新美術館の『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。