京橋エドグランの『スナック・モルチェ』でのアペロを終え、本会の店に向かう。
茶目子さんが、和食と日本酒で人気の名店、『京橋 酛』の予約を取ってくれたのだ。
メンバーは、茶目子さん、KEiさん、そして私。
席に着くと、鈴木店長がいきなり凄い酒を出してくれた。
秋田の五つの酒蔵が力を合わせて醸す酒、純米大吟醸 NEXT5 hyougemono 2018。
歴史漫画「へうげもの」とのコラボ企画の酒である。
詳しくは、『京橋 酛』のブログをご参照ください。
漫画「へうげもの」は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人に仕えた数寄者大名、古田織部を主人公とする物語。
折角なので「へうげもの」の絵が描かれた箱も見せていただいた。
四合瓶よりもはるかに大きな箱の訳は、付録の酒盃。
49人の陶芸家が7,000枚の酒盃を焼き、7,000本の酒とセットでリリースされたのだそうだ。
この酒盃は秋田在住の陶芸家、田村一氏の作品で、1/500のシリアルナンバーが入っている。
米の限りなき旨味を持ちながら、端正な辛口。
三郷錦を45%まで磨き、AK-1で醸されている。
五つの蔵の分担は、以下の通り。
米 :福禄寿酒造(一白水成)
酵母:山本合名(白瀑)
酒母:新政酒造(新政)
麹 :秋田醸造(ゆきの美人)
醸造:栗林酒造店(春霞)
三人で乾杯。
KEiさんと私はNEXT5 2018、茶目子さんはゆきの美人の濁り酒。
ゆきの美人は秋田醸造が醸す酒で、NEXT5の蔵のひとつ。
濁り好きな茶目子さんのために鈴木さんが用意してくれたもの。
お通しは、鯖押し寿司の炙り。
空いたお腹に酒と鯖が染み渡る。
鯖が乗った蓋を開けると、ふろふき大根。
香りがふわっと立ち昇る。
二杯目の酒は、加茂金秀、愛山純米吟醸。
広島県東広島市の金光酒造が愛山を用い、精米歩合55%、9号系酵母で醸す酒。
雄町を使うことが多い金光酒造が、雄町の流れを汲む愛山で醸している。
ラベルに愛山の系譜が書かれていることからも、雄町、そして愛山への拘りを感じ取ることができる。
KEiさんのお酒は、なんと東京芝の酒。
港区芝の東京港醸造が醸す、江戸開城 山田錦 純米吟醸原酒。
2011年創業、2016年酒造免許取得の新しい蔵だ。
4階建てのビルの中で醸造されており、4階で酒米を蒸し、3階に降ろして発酵させ、という具合に高低差を利用して造られているのだそうだ。
茶目子さんのお酒は、秋田県由利本荘市の齋弥酒造が醸す、雪の茅舎 美酒の設計 山田錦 純米吟醸 火入れ。
兵庫県産山田錦を55%まで磨き、蔵内保存酵母で醸されている。
三種の酒が勢揃い。
三人でグラスを交換し、全ての酒を味見。
こうして較べると味わいの微妙な差を感じることが出来、面白い。
鮪、シマアジ、シロイカ。
以前は伊豆七島に石鯛やシマアジを釣りに行っていたので、シマアジは大好物。
この話をすると、鈴木店長から「釣りをするイメージはなく、意外です」とのコメント。
三杯目の酒は、長野県長野市の酒千蔵野が醸す、川中島幻舞「i」 愛山 純米吟醸 無濾過生原酒。
愛山を55%まで磨き、使用酵母はM310.
前回訪問時に、「愛山が好き」とお話ししたのを鈴木店長が覚えていて、今夜は愛山の酒を選んでくれている。
KEiさんは『京橋 酛』は初めて。
そこで最初に嫌いな食材を聞かれ、「納豆が苦手」と答えていた。
すると鈴木店長が出したお酒は、川口納豆。
宮城県栗原市の金の井酒造が醸す、特別純米酒 「川口納豆」 美山錦原酒 ひやおろし。
川口納豆が自社畑で栽培した美山錦を使い、綿屋の金の井酒造が造る酒であり、別に納豆の味がするわけではない。
美山錦の精米歩合は55%、酵母は宮城酵母。
茶目子さんのお酒は、愛媛県西条市の成龍酒造が醸す、賀儀屋 純米原酒。
愛媛県産しずく媛を60%まで磨いて使用。
ラベルの絵は、切絵作家、塩崎剛の代表作、「月光の稲穂」。
西条は四国山地の伏流水で有名なところ。
青竹を地中に打ち込むと、中から水が湧き出ると言われている。
上野料理長が今夜の雲丹を見せてくれる。
そして出されたのはいちご煮。
入っている魚は、金目鯛。
カウンターの後ろには、大きな日本酒クーラー。
飲みたい酒がぎっしりと詰まっている。
四杯目は、長野県長野市の尾澤酒造場が醸す、19 poco a poco 生原酒。
尾澤酒造場は、僅か三人で運営する小さな蔵。
契約栽培したひとごこちを45%まで磨き上げ、M310酵母で醸している。
本来は大吟醸なのだが、規則により大吟醸を名乗ることができない。
尾澤酒造場では、契約栽培農家の米を30kg袋に足りない端数米まで全て購入して使っている。
等級検査を受けることが出来ない端数米が混ざっているために、大吟醸を名乗ることが出来ないのだ。
KEiさんのお酒は、19 Riccio 原酒 火入。
普通は生酒なのだが、これは火入れされている。
リッチョとはイタリア語でハリネズミのこと。
欧州ではハリネズミは幸運のシンボルなのだそうだ。
ひとごこちを65%まで磨き、自社培養酵母で醸されている。
茶目子さんのお酒は、同じく尾澤酒造場が醸す、十九 紅葉 生原酒。
兵庫県産山田錦を用い、精米歩合は65%、酵母は協会9号。
ラベルには本物の紅葉がフィルムで貼り付けられている。
秋を感じる美しいラベルだ。
詳しくは、『京橋 酛』のブログをご参照ください。
あん肝の茶碗蒸し。
柚子の香りが素晴らしく、あん肝の濃厚な味わいが日本酒に良く合う。
京橋の和食と日本酒の人気店、『京橋 酛』でKEiさんと茶目子さんと過ごす楽しい夜は続きます。