銀座の何時ものフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
今夜の赤ワインは、モンターニュ・サンテミリオンのシャトー・メゾン・ブランシュ、2009年。
モンターニュ・サンテミリオンは、サンテミリオンの北に広がる四つのサンテミリオン衛星地区の中の一つで、サンテミリオンに隣接している。
これは濃厚で美味い。
完熟したプルーン、ビターチョコレート、コーヒーやなめし皮のニュアンス。
タンニンは強いがまろやか。
ぶどう栽培はオーガニックで、セパージュはメルロー80%、カベルネ・フラン20%。
フランス製のオーク樽で12~18ヶ月熟成され、清澄・濾過は行われていない。
肉料理は、宮若牛とジャガイモのガレット、赤ワインソース、ほうれん草のエチュベとロックフォールの軽いクリーム。
平たく言えば、ジャガイモのガレットで作られたハンバーガー。
赤ワインを、残った白ワインと交互に飲んでも美味しい。
宮若牛は、福岡県宮若市で生産された牛。
一度、福岡空港でレンタカーを借り、小倉方面に高速道路を走ったことがあるが、高速道路の表示が、宮若市の出口が若宮方面となっていて、表示の書き間違いかと思ったことがある。
調べてみると、宮田町と若宮町が合併してできたのが宮若市で、宮若市の中に宮田地区と若宮地区があるのでこんなややこしい道路標識になっているようだ。
ジャガイモのガレットと一緒に、がばっと切り開く。
ハンバーグと言っても、焼き色が美しい。
赤ワインも二杯目。
これは彼女の望み通りフランス人スタッフに注いでもらい、しばしフランス語でお話し。
ソムリエの大友さんが真剣な眼差しで注いでくれているのは、今夜のディジェスティフ。
ロゼスが造る、ポート、トゥニー。
ロゼスはフランスで人気のポルトガルのポート・メーカー。
ロゼスの創設者は、ポルトガル系フランス人の、ボルドーのワイン商なのだ。
ソムリエの大友さんが、今夜飲んだワインのボトルを並べてくれた。
他の客から見ると、大酒飲みのように思われてしまいそうだ。
デセールは、マロンクリームと軽いヴァシュランのモンブラン仕立て、ヴァニラアイスクリームと温かいチョコレートソースと一緒に。
これはグランドメニューにも加えられたこの秋の新作。
冷たいデセールの周りに、温かいチョコレートソースが掛けられる。
チョコレートソースの模様がいびつになってしまったが、それも愛嬌。
このモンブランは、彼女も大好きなメニュー。
赤ワインが美味しいので、更に三杯目。
ポートとボルドーを一緒に飲むのも面白い。
「今夜の星野さんのお料理も美味しかったわね」と彼女。
「それに合わせたワインも良かったね」と私。
「フランス語の練習もできたけど、どんどん注いでもらったので酔っちゃった」
と言いながら、彼女は何時もの通りポートに少し口を付けただけでグラスを私の前に置く。
美味しいが、さすがに〆のポート二杯は一層酔いが回る。
今夜の料理もワインも素晴らしかった。
席に来てくれた星野料理長と、今夜の料理について意見を交わすのも楽しい時間。
今夜のワイン達に見送られ、竹内支配人、大友ソムリエに見送られ、店をあとにする。
マロニエゲートギンザ1を出ると、外堀通りを渡り、何時もの通り有楽町駅に向かう。
そして何時もの通りファミマで彼女用のサラダを幾つか購入。
再びマロニエ通りに戻り、銀座通り(中央通り)に向かう。
シャネルのマロニエ通り側のショーウインドウのディスプレイが、洋服からバッグに代わっている。
銀座二丁目交差点の四つ角には、有名ブランドのビルが競い合って建っている。
ビル全体にイルミネーションが輝いているのは、シャネル。
向かい側のルイ・ヴィトンの文字が鏡文字で写っている。
こちらはカルティエ。
色合いがシックで好きだ。
ルイ・ヴィトンは一番小さいが、とてもお洒落な雰囲気。
一番地味なのが、ブルガリ。
クリスマスが近づくとセルペンティの飾りがビル全体に取り付けられるので、一挙に華やかになる。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けていきました。