銀座の何時ものフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ銀座』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
赤ワインは、ボルドー。
リストラック・メドックのシャトー・フルカ・オスタン、2009年。
このワインを飲むのは二度目。
このシャトーのオーナーはエルメスの一族。
2006年の買収以来品質向上に努め、年々人気が高まっている。
シャネルのローザン・セグラ、フェラガモのイル・ボッロ、ブルガリのポデル・ヌオーヴォに較べ、エルメスがワイナリーを保有していることはあまり知られていないのではないだろうか。
熟したカシス、プラム、コーヒー、そしてヴァニラのニュアンス。
果実の凝縮感が素晴らしく、タンニンは強いが円やか。
裏のラベルによると、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンはヴィエイユ・ヴィーニュなのだそうだ。
セパージュは、メルロー45%、カベルネ・ソーヴィニヨン45%、カベルネ・フラン10%。
フレンチオークの樽で12ヶ月熟成されており、新樽比率は33%。
葡萄牛カイノミのソテー、ジュのソース、オーヴェルニュ風レンズ豆の軽い煮込みと人参のフリット。
葡萄牛は、果汁を絞ったぶどう滓を食べさせて育てたアンガス牛。
肉の下にはレンズ豆がたっぷり。
産地は聞き忘れたが、この肉厚な実はフランス、ピュイ産だと思う。
フルか・オスタンが美味しいので、食後もしばらく飲み続ける。
大友さんが、今夜飲んだワイン達を並べてくれた。
ボトルの最後の一杯を飲み干すと、澱が溜まっている。
2009年は丁度飲み頃のようだ。
食後のディジェスティフは、南ローヌを代表する造り手、ファミーユ・ペランが造る、ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ、2010年。
発酵途中のワインにブランデーを加えて発酵を止め、糖分を残した酒精強化ワイン。
美味しいのだが、甘いので1杯で充分。
でも彼女が何時ものように一口飲んだだけで私にグラスをくれたので、2杯飲むことに。
デセールは、完熟した北海道富良野メロン、ビスキュイサヴォアとヨーグルトのソルベ、ミントの香る柔らかいクリームとクランブルを添えて。
熟した赤肉メロンがとても美味い。
ビスキュイ・ド・サヴォアとヨーグルトのソルベ。
ビスキュイ・ド・サヴォアは、ローヌ地方サヴォア県の郷土菓子。
「今夜の星野さんの料理も素敵だったわね」と彼女。
「ワインも君が好きなものばかりで楽しかったね」と私。
今夜もクレマンのロゼを最初に飲み過ぎたので、酔いが回ってしまった。
コーヒーを二杯飲んでおいたほうが良さそうだ。
星野料理長にお礼を述べ、大友ソムリエに見送られて店をあとにする。
今夜は竹内支配人は所用で不在のため、お話しすることが出来なかった。
マロニエゲートギンザ1を出て向かったのは、有楽町駅の何時ものファミマ。
ここで彼女の朝食用のサラダを幾つか購入。
帰りは再びマロニエ通りに向かう。
有楽町駅前の丸井、その左の東京交通会館の間を抜ける。
後ろを振り向くと、東京フォーラムが、そしてその先には、丸の内パークビルが見える。
首都高の上に、先程まで居たマロニエゲートギンザ1。
マロニエ通りに出ると、マックスマーラの前を過ぎて、銀座通りに。
シャネルのショーウインドウのディスプレイは既に秋物。
銀座通りを四丁目方向に向かい、帰路に就く。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けていきました。