今夜は何時ものフレンチで彼女と待ち合わせ。
ムッシュ ポール・ボキューズが91歳で永眠されたのは、今年の1月20日。
フランス以外で『ポール・ボキューズ』の名を冠するレストランがあるのは、世界で日本のみ。
ムッシュ ポール・ボキューズの遺志を受け継ぐべく、4月に本店総料理長、クリストフ・ミュレール氏が来日し、日本の全店を巡って料理指導を実施。
そんな『ポール・ボキューズ』の料理が好きで、銀座店に今年は早くも11回目の訪問。
代官山のフラッグシップ店、『メゾン ポール・ボキューズ』と合わせると、今年15回目の訪問になる。
開店と同時に入店したので、広い店内にはまだ客は居ない。
窓の外に見える有楽町丸井と東京交通会館の向こうに、夕日が沈みつつある。
彼女が到着。
席を立って迎える。
ソムリエの大友さんが、今夜のアペリティフを届けてくれる。
ピーチのカクテル。
ピーチの甘い香り、口に含むと甘みは控え目で、後味は辛口。
「美味しい、季節感があっていいわね。何を使っているの?」と彼女。
「ピーチ・ネクター、ピーチ・リキュールにグレナディンシロップを加え、クレマンで割ったカクテルだよ」と私。
彼女を待つ間に、大友さんに教わっておいたのだ。
使われているスパークリング・ワインは、ヴーヴ・アンバルが造る、クレマン・ド・ブルゴーニュ、ブリュット、ミレジム、2014年。
バゲットは、フランスで作った生地を冷凍で輸入し、ここで焼いたもの。
今年の3月に新しいバゲットに替わり、一層美味しくなった。
紅ズワイガニのカッペリーニと甲殻類の軽いクリームソース、ライムの香るムースリーヌ。
星野料理長によると、「カッペリーニを使っているが、ちゃんとフランス料理に昇華させています」とのこと。
カッペリーニの上には、紅ズワイガニがたっぷり。
オマール海老のビスクソースにクリームを加え、円やかな味わいにしたソースが美味い。
ムースリーヌの爽やかな香りも心地良い。
これは素晴らしい一品だ。
白ワインは、ラングドック・ルーション地方のスター・ドメーヌのもの。
ドメーヌ・ゴビー、レ・カルシネール、コート・カタラン、2009年。
強い熟成感、濃厚な果実味。
完熟した洋梨やパッションフルーツのニュアンス。
活き活きとしたミネラル感が印象的。
セパージュは、ミュスカ50%、シャルドネ30%、マカブー20%で、ブドウ栽培はビオロジック。
鱸のポワレ、ブイヤベース仕立て、凝縮したトマトとタプナードのクネルを添えて。
ブイヤベース仕立てと言っても、スープが無い。
と思ったら、熱いスープが注ぎ込まれる。
湯気と共に、素晴らしい香りが立ち昇る。
ポワレされた鱸の身がジューシーで、トマトとタプナードのクネルが良いアクセントとなっている。
今夜の星野シェフの料理も冴えている。
銀座の何時ものフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。