六本木の素敵な洋館の一軒家フレンチ、『オーベルジュ・ド・リル・トーキョー』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
鹿児島産真鯛のポワレ、春キャベツのエチュベ、アンチョビ風味。
大物の真鯛だ。
皮がパリっと焼かれたポワレが美味い。
赤ワインは、メドックのシャトー・オー・モーラック、クリュ・ブルジョワ、2009年。
最近人気の、メドック北部、サン・イザン・ド・メドック地区にあるシャトー。
ふくよかな果実味と円やかなタンニンを持つ上品なボルドー。
2009年はGoodYear。
2009年のセパージュは知らないが、シャトーの作付け面積はカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー40%。
発酵にはステンレスタンクを用い、熟成はオークの樽で12~14ヶ月で、新樽比率は33%。
栃木産和牛フィレ肉のロティー、ソース・エシャロット、イタリア産プティ・ポワのフリカッセ。
プティ・ポワは春を告げる野菜。
ホワイトソースで和えられたプティ・ポワの自然な甘さが素晴らしい。
栃木の和牛フィレ肉は綺麗な赤身でとても柔らかい。
プレ・デセールは、日向夏。
生の日向夏の下には、日向夏のムース。
魚料理、肉料理を食べた後の日向夏の酸味が心地良い。
ディジェスティフは、再びアルザスのトリンバック。
ゲヴュルツトラミネール、ヴァンダンジュ・タルディヴ、2007年。
トリンバックは1626年創業で、13代にわたってワインを造り続けるアルザスの名門。
熟した洋梨、白桃、アプリコットの香り。
蜂蜜、マッシュルーム、炒ったナッツのニュアンス。
とても甘いが、酸も持つので綺麗な後味。
ヴァンダンジュ・タルディヴは、遅摘みにより極限まで熟成させ、一部貴腐化したぶどうの果実を使用している。
デセールは、苺とフォンダンショコラ、オーベルジュ・ド・リル風。
おもちゃ箱をひっくり返したような面白さ。
このフォンダンショコラ、とても美味い。
神楽坂の『ル・コキヤージュ』のテリーヌ・ドゥ・ショコラに匹敵する濃厚さだ。
バニラアイスクリームも円やか。
濃いコーヒーがいっぱいになったお腹を癒してくれる。
「やっぱりここは素敵ね。今夜の料理も美味しかったわ、ありがとう」と彼女。
「ここにはザ・ジョージアン・クラブの時からの素敵な記憶が詰まっているからね」と私。
ミニャルディーズは、桜のマカロン、トリュフチョコレート、マドレーヌ。
満ち足りた思いで席を立つ。
エントランスを出ると、犬飼支配人、寺田シェフ、石原ソムリエが見送りに出てくれている。
皆さんに今夜のお礼を述べ、店をあとにする。
六本木通りを渡り、六本木ヒルズに向かう。
黒の淡色だった66プラザの蜘蛛が着色されている。
リアルな感じで、今にも動き出しそうだ。
彼女の目的は成城石井。
遅くまで飲んだ日は、翌朝のサラダを大量に買うのが何時もの行動パターン。
この時間になっても充分な品数が揃っているのは、さすが六本木。
しかもほとんどのサラダが10%のディスカウントになっている。
だからと言って、そんなに沢山買ったら・・・、と言いたいところをぐっと飲み込む。
何時もの通り、私が大きなビニール袋を提げて帰途に就く。
彼女と過ごす六本木の夜は素敵に更けていきました。