ちょっと以前のこと、彼女と六本木で待ち合わせ。
雨が通り過ぎた六本木の路面は濡れ、少し蒸し暑い。
六本木通りのヒルズとは反対側を西麻布に向かって歩いているので、六本木ヒルズが首都高越しに見える。
『EX THEATERROPPONGI』まで来た。
ポップスやロック、演劇などの劇場だ。
この先を右折すれば、今夜のお店はもうすぐ。
今夜のフレンチ・レストラン、『オーベルジュ・ド・リル・トーキョー』に到着した。
エントランスでは、犬飼支配人と石原ソムリエが客を迎えている。
『オーベルジュ・ド・リル・トーキョー』は2008年5月に開業し、丁度10周年を迎えている。
エントランスで傘を預け、弧を描く階段を下りメインダイニングに進む。
ここが『ザ・ジョージアン・クラブ』だったころから好きな建物だ。
先客がいらっしゃるので、天井部分のみを撮影。
今夜の彼女はとても素敵だ。
席に着くと、「今夜の君は一段と綺麗だよ」と私。
「ありがとう。ここに来るときはお洒落できるので嬉しいわ」と彼女。
メニューの表紙に使われている、アルザス本店のオーナーシェフ、マルク・エーベルラン氏の絵が変わった。
以前は、川べりに置かれた小舟の絵だった。
石原ソムリエが来られたので聞いてみると、以前の絵は開業以来10年間も使っているので、今回新しいものに替えたのだそうだ。
エーベルラン氏の水彩画は数十枚あるので、これからは時々替えたいとのこと。
本店では季節ごとに替えているのだそうだ。
石原さんが最初のスパークリングを注いでくれる。
ヴーヴ・アンバルのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ブリュット、ミレジム、2014年。
ヴーヴ・アンバルはブルゴーニュを代表するクレマン専業メゾンで、このミレジムは本当に美味い。
ミレジム、2014年を初めて飲んだのは2016年。
その頃はフレッシュ感が強かったが、今は熟成感が出て一段と美味しくなっている。
ぶどうはシャルドネ主体で、アリゴテが加えられている。
一皿目の前菜は、ポワロー、カリフラワーとズワイ蟹のガトー仕立て、キャビア添え。
ズワイ蟹のキャビアもクレマンに良く合って美味い。
熱々のパンが届く。
外はパリッと、そして中はしっとりと焼かれ、とても美味い。
バターは溶けないように、冷えた白大理石に載せて出されている。
クレマンを4杯も飲んでしまった。
そろそろ白ワインに切り替えることにしよう。
『オーベルジュ・ド・リル』はアルザスにあるレストラン。
従って白ワインもアルザスのトリンバックが造る、リースリング、キュヴェ・パルティキュリエール、プア・ヒラマツ、2015年。
トリンバックは1626年創業で、現当主は13代目という名門。
トリンバックのワインは、フランスの全ての三ツ星レストランにオン・リストされている。
少しモスグリーンが入った透明感のあるレモンイエロー。
グレープフルーツなどの柑橘系の香り。
豊かな果実味を持つが、フレッシュな酸とミネラルがあるので、キレの良い辛口。
このボトルは、トリンバックが『ひらまつ』のために造る特別なキュヴェである。
ホワイトアスパラガスとマグロのシーザーサラダ。
これがシーザーサラダ・・・と思ったが、確かにロメインレタスが使われている。
ロメインレタスの下には、ホワイトアスパラガス。
ホワイトアスパラガスを横にどけると、ベーコンに巻かれた生のマグロ。
アルザスのリースリングに良く合って美味い。
六本木のフレンチ、『オーベルジュ・ド・リル』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。