銀座の何時ものフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
ポール・ボキューズさんが91歳でこの世を去ったのは、今年の1月20日。
世界中から料理界の大御所が弔問に詰めかけ、葬儀の様子はフランスのTVで中継された。
彼の存在が料理界でいかに大きかったかよくわかる。
私がフレンチに興味を持ったのも、若い頃に読んだポール・ボキューズさんの著書の影響だった。
今年はポール・ボキューズさんを偲び、日本でではあるが、彼のレストランに通おうと思っている。
ディジェスティフ、リュリーの白を飲んだあとは、ローヌの赤。
南ローヌを代表する造り手、ファミーユ・ペランの、クードレ・ド・ボーカステル・ルージュ、コート・デュ・ローヌ、2010年。
ローヌの偉大なワイン、シャトー・ド・ボーカステルのセカンド的な位置付けのキュヴェ。
シャトー・ド・ボーカステルほどではないにしても、充分に濃く、複雑なストラクチャーを持つ。
プルーンやカシス、そしてスパイスやタバコのニュアンス。
タンニンも充分に強い。
セパージュは、ムールヴェードル30%、グルナッシュ30%、シラー20%、サンソー20%。
牛ロース肉のロースト、赤ワインのベアルネーズソース、プティ・ポワのフランセーズとグラタンリヨネーズを添えて。
美味しそうな赤身で火入れも美しい。
ベアルネーズソースが何とも艶めかしい。
グラタンリヨネーズは熱々の皿で届く。
ショートパスタが使われているのかと思ったら、何と長いパスタを渦状に巻いて焼かれている。
ディジェスティフもファミーユ・ペランのフォーティファイドワイン。
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズ、2010年。
発酵途中にブランデーを加えて発酵を止め、ぶどうの自然な甘みを残した酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)で、ヴァン・ド・ナチュレルと呼ばれる。
濃厚なぶどうの甘みを持つが、後味はとてもすっきりしている。
ぶどうは、ミュスカ・ア・プティ・グラン。
フレッシュ苺のキルシュ風味、軽いヴァシュランとバニラアイスクリームと共に。
苺のソースがかけられる。
『ポール・ボキューズ ミュゼ』ではアイスクリームはメレンゲの下に置かれていた。
同じ料理でも微妙に違う所が面白い。
食後のコーヒーが美味い。
「今夜の星野さんのお料理も美味しかったわね」と、彼女。
「料理もワインも美味しいし、寛げるから度々来たくなるね」と私。
竹内支配人、星野料理長、大友ソムリエに今夜の礼を述べ、店をあとにする。
『モンソー・フルール』の花は、今夜も美しく輝いている。
自由が丘に本店があるお花屋さんだ。
モンクレールのディスプレイが変わった。
意匠性に富み、何時も楽しませてくれる。
マックスマーラは、何時もの通りモノトーン。
シャネルは洋服の展示からバッグの展示に変わった。
銀座二丁目交差点まできた。
銀座通りを歩いて帰途に就くことにしよう。
ヴァンクリは今も明るく輝いているが、お隣のショーメは改装中で銀座四丁目の仮店舗で営業している。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けていきました。