西麻布の白亜の一軒家フレンチ、『レストランひらまつ レゼルヴ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
魚料理は、金目鯛のヴァプール、春野菜のエチュベ、ソースブールブラン。
金目鯛も春野菜も蒸し料理だが、ヴァプールは蒸し焼きの総称、エチュベは水を加えずに野菜自身が持つ水分で蒸すこと。
蒸す技法には、他にもポシェやブレゼがあり、本当にややこしい。
白身の上品な金目鯛と、ソースブールブランが良く合って美味い。
野菜は、ソラマメ、ニンジン、カブ、インゲン、タマネギ、ネギ。
赤ワインは、サンテミリオン・グラン・クリュ、クロ・ド・ラ・キュー、2006年。
初めて飲むワインで、どんなシャトーなのか造り手の情報を持っていない。
濃いガーネット。
熟したブラックベリー、ブルーベリー、プラムの香り。
口に含むと、ビターチョコレートやクローヴのヒント。
セパージュはメルロー75%、カベルネ・フラン25%。
樽での熟成期間は12~15カ月で、新樽比率は50%。
肉料理は、仔牛ロース肉とリードヴォーのムニエル、新ジャガイモのグラッセとプティポワのピューレ。
仔牛ロース肉は口の中で溶けてしまうくらいの柔らかさ。
リードヴォーは私の好物。
昔、八重洲に『むら八』というフレンチの名店があり、リードヴォーの料理が絶品だった。
ランチでリードヴォーを食べに通ったことを思い出す。
赤ワインを光にかざしてみたが、濃く不透明なので綺麗な光の影は現れない。
ディジェスティフは、南ローヌのファミーユ・ペランが造る、ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズ、2010年。
発酵途中にブランデーを加え、ぶどうの自然な甘みを残したフォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)で、ヴァン・ド・ナチュレルと呼ばれる。
ぶどうは、ミュスカ・ア・プティ・グラン。
彼女は甘いフォーティファイド・ワインが苦手なので、ちょっと口を付けただけで私にグラスを回す。
そして何時ものとおり私が二杯を飲み、酔いが回ってしまう。
デセールは、はるかとカモミールのムース、洋梨のソルベと一緒に。
はるかは、日向夏の自然交雑種で、奇跡の柑橘と呼ばれている。
はるかは甘みが強く、香りも良い。
元々福岡県で発見された品種だが、これは高知県産。
「内木場シェフの今夜の料理も素晴らしかったわね」と彼女。
「うん、鹿児島県と高知県の食材が色々使われていたね。内木場さんに今夜の感想を伝え、お礼を言って帰ることにしよう」と私。
ミニャルディーズは、トリュフチョコレート、マカロン、マシュマロ。
レセプションには、何時もの絵画。
憂いを帯びた少女の横には、小さな天使。
少女は何故か胸をはだけているが、まだ成長していない胸は幼さを演出し、エロティシズムは感じない。
坂元支配人と内木場料理長に見送られ、店を後にする。
六本木ヒルズに戻ってきた。
夜も更け、66プラザでは人々が足早に通り過ぎていく。
遠くには東京タワーの明り。
地下に下り、『成城石井』に立ち寄る。
帰りが夜遅くなると、彼女は翌日の朝食用にサラダをいっぱい買うことにしている。
色々物色する彼女の後ろを、カゴを持って歩くのは私の役目。
彼女と過ごす西麻布、六本木の夜は素敵に更けていきました。


















