神楽坂の人気のモダン・スパニッシュ、『エスタシオン』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
泡、白とグラスで飲んだあとは、赤をボトルで。
野堀シェフに好みを伝えると、5本のボトルを選んでくれた。
その中から選んだのは、リオハのレメリュリ、レゼルヴァ、2008年。
これは凄いワインが出されたものだ。
レメリュリはリオハで最も古い歴史を誇るワイナリー。
とても強いワインで熟成も進んでいるので、デカンタを出してくれた。
小さなデカンタが可愛い。
スペイン・ワイン界の革命児と呼ばれるテルモ・ロドリゲスが実家のレメリュリに戻ったのは2010年。
それ以来数々の改革を断行し、レメリュリの名前を一層高めている。
少し紫を含む、濃いガーネット。
強い黒果実の香りと熟成香。
果実の凝縮感に、綺麗なタンニンが溶け込んでいる。
素晴らしいフルボディ。
10年の時を経て、今が飲み頃のようだ。
ぶどうは有機栽培で、ビオディナミへの進化を続けているそうだ。
セパージュは、テンプラニーリョ90%、ガルナッチャ5%、グラシアーノ5%。
肉料理用に新しいナイフが出された。
これはフランスのオピネルだ。
でもこのナイフ、オピネルのキッチンナイフシリーズではなく、アウトドアナイフシリーズのようだ。
メインは、仔羊のアサード、ちぢみホウレン草のトリンチャット。
仔羊の火入れが素晴らしく、柔らかな肉が美味い。
仔羊は、オーストラリア産。
肉の下には、ちぢみホウレン草のトリンチャット。
トリンチャットはカタルーニャ地方の料理で、マッシュポテトに緑色の縮れキャベツが入れられるが、ここでは代わりにちぢみホウレン草が使われている。
添えられているこれは何かと思ったら、カラメルを乗せた焼バナナ。
カラメルを少し剥がしてみてわかった。
意表を突く組み合わせだ。
もうお腹はいっぱいだが、名物のアロス料理も食べることにする。
海老と魚介のアロスメロッソ。
伝統的なオジャ(鉄鍋)で出される。
このオジャもスペイン製だそうだ。
ビスクスープが素晴らしい。
お腹はいっぱいだが、完食。
「もうお腹いっぱいだね」と私。
「いっぱい食べたわね。デザートは何にする?」と彼女。
「・・・」
彼女が選んだのは、バスク風チーズケーキ。
表面が真っ黒なのが特徴。
私もお付き合いすることに。
タルタ・デ・サンティアゴ。
ガリシア州のアーモンド・ケーキで、聖ヤコブのケーキという意味。
スペインでは粉砂糖で十字架が描かれるが、ここではバニラアイスクリームがトッピングされている。
アーモンド・ケーキには、スペインのどんぐりのリキュール、リコール・デ・ベリョータが掛けられる。
素晴らしい香り。
「美味しかった。貴方が選ぶお店はどこも最高ね。大好き」と彼女。
大好きの対象がこのお店かそれとも私の事かは不明だが、こういう時は自分に都合が良いように理解すればよい。
ここで野堀貴則シェフにご登場いただこう。
料理は美味しく、シェフとのお話しも楽しかったので、次回の予約をお願いする。
今夜はお世話になりありがとうございました。
次回も楽しみにしています。