西麻布の白亜の一軒家フレンチ、『レストランひらまつ レゼルヴ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
冬の饗宴、ジビエを楽しむ趣向なのだ。
二皿目の前菜は、蟹と雲丹。
秋田県男鹿半島のズワイガニ。
秋田で獲れたズワイガニの多くは鳥取に運ばれ、松葉ガニとして販売されているそうだ。
たっぷりのズワイガニの上には、雲丹とホワイトバルサミコのジュレ。
素晴らしく美味い。
二種類目の白も、素晴らしいワイン。
サンセールの名門、アルフォンス・メロが造る、サンセール・ブラン、ジェネラシオン XIX(ディズヌフ)、2009年。
アルフォンス・メロの現当主は19代目。
その19を名前に冠した、年産3,000本に満たない最上級キュヴェである。
強く複雑なストラクチャー。
深い熟成感と、際立つミネラル。
まさに上質のソーヴィニヨン・ブランだ。
ぶどう栽培はビオロジック、醸造にはオーク樽を用いている。
右がシャトー・ラトゥール・マルティヤック・ブラン、左がサンセール・ブラン、ジェネレーション XIX、
こんな飲み較べも楽しい。
これが右側のワイン、ボルドー、ペサック・レオニャンのシャトー・ラトゥール・マルティヤック、2012年。
魚料理は、久重とポロ葱。
久重は、高知県土佐清水産。
ポシェ、照り焼き、スープの三種の調理法で出されている。
照り焼きというより、串焼き。
久重の野性的な旨味が直に感じられる。
ポシェは、柔らかな食感の中に甘い久重の旨味。
そしてスープ。
久重の骨と皮を用いて作られた濃厚なスープが胃に染みる。
四種類目のワインは、素晴らしい赤。
ローヌのアラン・ガルティが造る、コート・デュ・ヴィヴァレ、ラ・シレーヌ、2007年。
アラン・ガルティはコート・デュ・ヴィヴァレの天才と称される造り手。
コート・デュ・ヴィヴァレのAOC認定は1999年だが、ガルティのワインだけは例外的に95年からAOCを名乗ることを認められていた。
素晴らしいぶどうの果実の凝縮感と熟成感。
確かに濃く強いが、洗練されたボディを持っている。
セパージュはシラー70%、グルナッシュ30%で、栽培はビオディナミ。
自然酵母を用い、樽熟成を行っている。
年産わずか2,000本の最上級キュヴェである。
最高に美味い赤だが、濃すぎて光が通らないようだ。
グラスアートを試みたが、綺麗な模様は現れなかった。
肉料理は、いなば雌鹿のグランヴヌール。
雌鹿は鳥取県産。
赤ワインソースとカボチャのピューレ。
鹿児島県志布志産の古代米のバターライスと、千葉県高梨農園の季節の野菜。
内木場シェフは日本各地の生産者を直接訪問し、自身が納得した食材を用いている。
だから内木場さんの料理は何時も楽しく美味しい。
彼女と過ごす『レストランひらまつ レゼルヴ』での素敵な夜は続きます。