銀座の『ブラッスリー ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
三種類目のワインは、ローヌで人気の造り手、ジャン・ルイ・シャーヴが造る、J. L. シャーヴ・セレクション、コート・デュ・ローヌ、モン・クール、2015年。
シャーヴは、エルミタージュで16代続く名門。
シャーヴのワインは価格が高騰し、手に入らなくなってしまった。
そこで造られ始めたのが、ネゴシアン物のセレクション。
ネゴシアン物とは言っても、ぶどう栽培から一貫してシャーヴが監修し、ドメーヌ物と変わらぬレベルを維持している。
力強く、エレガントなボディ。
やはりシャーヴは只者ではない。
セパージュは、シラー50%、グルナッシュ50%。
肉料理は、山形豚肩ロース肉のグリエ、ソース・ヴァンルージュ。
上に乗っているのは菜の花。
最近の豚肉は本当に美味い。
以前は牛かラムばかり食べていたが、今は豚も選ぶようにしている。
添えられているのは、ポム・ド・リヨネーズ。
ジャガイモにベーコンと玉葱が加えられている。
四種類目のワインは、ディジェスティフ。
ポルトガルの、ロゼス、ポート、トゥニー。
創立者がボルドーのネゴシアンなので、フランスで人気のポートである。
以前ウイーンによく行っていた時に、ホテル・ブリストルのバーでヴィンテージ・ポートを飲む機会があり、その美味しさに目覚めてしまった。
このトゥニーはヴィンテージ物ではないが、樽熟成されており充分に美味い。
デセールは、しっとりとしたショコラのテリーヌ、アマレットの薫るシャンティーとプラムのコンポート添え。
木下シェフから、今夜のショコラのテリーヌは濃厚ですよと聞いていた。
その言葉通り、濃厚で好きなタイプだ。
アマレット、アンズのリキュールの香りも効いている。
赤いのは、フランボワーズのクーリ。
彼女は何時も通りポートに一口付けただけで、私にグラスを回す。
好きなポートが二杯飲めて嬉しい。
と思ったら、ソムリエの大友さんが注ぎ足してくれるので、更に飲んでしまう。
「木下シェフが居なくなると寂しいわね」と彼女。
「そうだね。シェフとは相性があるから、新しい星野シェフの料理が僕達に合うかどうか楽しみでもあり不安でもあるね」と私。
「次にここに来るときは、星野さんの料理なのね」
「そうだね。できるだけ早く予約を入れておくことにしよう」
今夜もお世話になったスタッフの方々と挨拶を交わし、店を後にする。
東京交通会館のイルミネーションが今夜も明るく輝く。
有楽町側から首都高越しにマロニエゲートギンザを振り返ると、先程まで居たレストランフロアが明るく見える。
マロニエ通りを少し散策することに。
バーバリーは何時もコートのディスプレイ。
マックス・マーラは、何時もモノトーン。
ブルーがガラスに映っているのは、お向かいのモンクレールのディスプレイ。
モンクレールは、海底のイメージ。
左のウィンドウの人形は、右向き。
そして右側のウィンドウの人形は、左向き。
こちらは、お隣のボッテガ・ヴェネタ。
シャネルは、2月から既に春の装い。
ウィンドウに、ルイ・ヴィトンとブルガリの文字が写り込んでいる。
彼女と過ごす銀座の夜は、素敵に更けて行きました。