丸ビルの35階、フレンチの『サンス・エ・サヴール』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
『サンス・エ・サヴール』は、南フランス、モンペリエの三ツ星シェフ、マルセル兄弟の東京店。
二種類目のワインは、ソーテルヌの好きな白。
クロ・デ・リュンヌ、キュヴェ・リュンヌ・ダルジャン、2012年。
ペサック・レオニャンのトップ・シャトー、ドメーヌ・ド・シュヴァリエを保有するベルナール家が、貴腐ワインで有名なソーテルヌ地区で造る辛口の白ワイン。
ぶどうは、セミヨン70%、ソーヴィニヨン・ブラン30%。
グレープフルーツやパイナップルの香りで、ソーヴィニヨン・ブランを感じる。
口に含むと、深い熟成感。
洋梨、メロン、はちみつ、そして綺麗な酸で、セミヨンを感じる。
熟成感や果実味を味わうことができるように、温度を少し高めにして出されているところが素晴らしい。
最初の前菜は、北海道根室産ウニのファルシー、ズワイガニと福岡県産秋王、フランス産キャビアのクリームを添えて。
ズワイガニとウニとキャビアとは、贅沢な一品。
この料理は、プルセル兄弟の新しいスペシャリティ。
ウニの下には、身をほぐしたズワイガニがたっぷり詰まっている。
「『サンス・エ・サヴール』の料理は本当に美味しいわね」と彼女は嬉しそう。
「南フランスのお店なので地中海料理の要素がふんだんに取り入れられていて楽しいね」と私。
熱々のパンも美味しい。
ここではバターではなく、EVオリーブオイルが出されるのも地中海的。
二皿目の前菜は、長崎県産本マグロとフォアグラのデュオ、蕪のマリネと赤玉葱のピクルス、東京丸の内産はちみつとレモンのヴィネグレット。
これは、10月に来日したローラン・プルセルさんが伝授した新作料理。
蕪のマリネに包まれているのは、生のマグロ。
はちみつとレモンのヴィネグレットソースとの相性も抜群。
地中海の爽やかな風を感じる素晴らしい一品だ。
三種類目のワインは、南仏ルーション地区のスター・ドメーヌ、ドメーヌ・ゴービーが造る、コート・カタラン、ヴィエイユ・ヴィーニュ、2007年。
南仏とは言ってもスペイン国境に近い場所で、畑の標高は300mに至る。
畑は起伏に富み、場所ごとに異なるミクロクリマを持ち、多様なワインを生み出している。
素晴らしい果実の凝縮感。
熟成によるエステル香。
白桃やアプリコット、パッションフルーツ、トーストのニュアンス。
ミネラル感も強い。
セパージュは複雑で、マカブー40%、グルナッシュ・ブラン25%、シャルドネ15%、グルナッシュ・グリ10%、カリニャン・ブラン10%。
ぶどう栽培はビオロジック。
三皿目の前菜は、山梨県丹波山産原木舞茸とセップ茸のヴルーテ、長州黒かしわと南瓜のロワイヤル、黒トリュフのクロックムッシューを添えて。
茸の濃厚なスープの下には、黒かしわと南瓜のロワイヤルが隠れている。
クロックムッシューを浸して食べると最高に美味い。
白ワイン二種の飲み較べも楽しい。
左がソーテルヌのキュヴェ・リュンヌ・ダルジャン、右がルーションのコート・カタラン、VV。
いよいよ魚料理。
山口県萩産甘鯛とフォアグラのグリエ、宮崎県産須木栗とセロリのピュレ、ローズマリーの香る巨峰のオブール、ソース・ヴェルジュ、徳島県産酢橘のカプチーノ。
甘鯛の鱗はパリッと揚げられていて、身と共にバリバリ食べると、柔らかな身と香ばしい鱗の食感の組み合わせが楽しい。
甘鯛の下に隠れているのは、大きなフォアグラ。
淡白な甘鯛と濃厚なフォアグラを合わせるとは、意表を突くマリアージュ。
フランスの食通を魅了し、23歳でレストラン開店後わずか10年で三ツ星を獲得したプルセル・キュイジーヌ。
その真髄が何なのか説明があるので、興味のある方はどうぞ。
丸の内の『サンス・エ・サヴール』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。