ちょっと前の事、彼女と広尾のフレンチでディナー。
再開した『カフェ・デ・プレ』の前で立ち止まり、サフランさんがいらっしゃらないか店内を覗き込む。
どうやらいらっしゃらないようなので、今夜のお店、『ラ・テール』に向かう。
今夜のレストラン、『ラ・テール』は、サフランさんにご紹介いただいたお店。
外苑西通りから一本隣の道にあり、道と店とはコンクリートの壁で隔てられている。
『ラ・テール』は、新屋信幸さんが料理長を務めるお店。
新屋シェフと言えば、自らの繁盛店を閉めてまで師匠のお店、『ピエール・ガニェール・ア・東京』開店に駆け付けて協力するも、その後数々の不幸に見舞われた”伝説のシェフ”。
壁の内側に入ると、そこは別世界。
植栽のある前庭の向こうには、全面ガラス張りのレストラン、『ラ・テール』。
三階には和食のお店、『西麻布 いち乃』、地階にはバー、『イル バー』がある。
二階まで吹き抜けの部屋の天井には、豪華なシャンデリアが輝いている。
随分以前のことだが、この店が和食店だった時にはよく来ていたのでとても懐かしい。
今夜の席は、奥の窓際のテーブル。
彼女のために一番良いテーブルを確保しておいた。
最初のグラスは、お店からの歓迎のスパークリング。
ジュラ・サヴォワ地方のパリジェンエ・ク・レーが造る、シャルル・ド・サン・セラン、ブリュット、ブラン・ド・ブラン。
シャンパーニュ方式で造られた、冷えたスパークリングが美味い。
ぶどうはシャルドネ主体で、コロンバールとユニ・ブランが加えられている。
アミューズは、豚のリエットと豚のスモークハム。
「器がとても素敵ね」と彼女。
滝沢マネジャーに聞くと、このお店の器はNIKKO製で、この模様は”スパングルス”というシリーズなのだそうだ。
スパークリングを飲み干すと、白をグラスでお願いする。
ACボルドーの、シャトー・レイノン、2015年。
醸造学の権威、ボルドー大学醸造学部のデュブルデュー教授が所有する4つのワイナリーの内のひとつ。
まだ2015年だが、素晴らしい熟成感。
グレープフルーツ、パッションフルーツ、麦藁のニュアンス。
さすがデュブルデュー教授が造る白ワインは美味い。
彼女と過ごす、西麻布のフレンチ、『ラ・テール』の素敵な夜は続きます。