代官山のフレンチ、『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
飲んでいるワインは、グラーヴのシャトー・ド・シャントグリーヴ、キュヴェ・カロリーヌ、2012年。
魚料理は、鱸のロースト、アーティチョークのバリグール、ブイヤベース風、タプナードのアクセント。
肉厚の鱸の下には、アーティチョークがゴロゴロと入っている。
アーティチョークは好きな食材で、欧州を旅する時はよく食べていた。
赤ワインが届いた。
ロワール、サンセールのアルフォンス・メロが造る、サンセール、ラ・ムシエール、2010年。
アルフォンス・メロはサンセールを代表する老舗の造り手で、現当主は19代目。
アルフォンス・メロは好きな造り手で、よく飲んでいる。
もちろんソーヴィニヨン・ブランが中心だが、メロが造るピノ・ノワールもなかなか美味い。
肉料理は、牛肉のローストと牛頬肉のパルマンティエ、タイムと大蒜の香るジューソースと赤ワインのエッセンス。
ローストには牛のハラミ肉が使われている。
柔らかくジューシーで美味い。
アッシェ・パルマンティエとは、刻んだ(アッシェ)肉の上にマッシュポテトを乗せて焼いた料理。
パルマンティエはフランスの薬剤師の名前で、家畜飼料だったジャガイモを人間の食用に普及させることに尽力した人物なのだ。
ディジェスティフは、ソーテルヌの貴腐ワイン。
グラーヴ地区のトップ・シャトー、ドメーヌ・ド・シュヴァリエがソーテルヌで造るクロ・デ・リュンヌ、2011年。
シュヴァリエはソーテルヌで辛口の白ワイン、クロ・デ・リュンヌ、キュヴェ・リュンヌ・ダルジャンも造っており、好きで何度か飲んだことがある。
熟した黄桃やアプリコット、蜂蜜のニュアンス。
素晴らしい貴腐ワインだ。
貴腐ワインが苦手な彼女は、何時ものとおり一口味わっただけでグラスを私の前に置く。
結局私が二杯、いやお代わりもしたので三杯飲んでしまう。
デセールは、レモンのタルトとコンフィチュール、フロマージュブランのアイスクリーム添え。
レモン味のメレンゲが素晴らしく美味い。
今夜はコーヒーにミルクを入れて飲むことにする。
「今夜の料理も美味しかったわね」と彼女。
「素晴らしいけど、入砂料理長の料理はヴォリュームがあるね。これがポール・ボキューズの標準量だとすると、リヨンの人は大食いみたいだ」と私。
前回のミニャルディーズは量が多すぎて食べきれなかった。
今夜は小さな菓子が三種類で一安心。
今夜の料理もワインも素晴らしかった。
入砂料理長に今夜のお礼を述べ、先﨑支配人に次回の予約の確認をし、店をあとにする。
彼女と過ごす代官山の夜は、素敵に更けて行きました。