中目黒のフレンチ、『オー・コアン・ドゥ・フー』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
お店の人気メニューが届く。
大きなフルートグラスに、海の幸がギュッと詰まった逸品。
下から、有機人参のムース、ズワイガニとホタテ、オマール海老のジュレ、そして一番上には生のウニが載せられている。
美味しいのだが、これだけでお腹がいっぱいになってしまう。
続く前菜は、ビシソワーズ、甘えびとあさり、ホワイトアスパラガスと枝豆、コンソメジュレ。
冷たいスープの中には、甘えび、あさり、そしてホワイトアスパラガスはゴロゴロと入っている。
二種類目の白を飲み終え、抜栓しておいた赤をテイスティング。
フレデリック・マニャンが造る、モレ・サン・ドニ、クール・ダルジール、2013年。
フレデリックは二人が大好きな造り手。
実際にお会いして話したことがあるので、二人とも親近感を持っている。
コルクの質は良く、香りも良好。
でも、コルクには何の刻印も無く、ちょっと寂しい。
最近のフレデリックのピノは、昔のように樽を効かした強いボディではなく、よりテロワールを活かした自然な造りになっている。
それでもジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニーの間にあるモレ・サン・ドニの、ジュヴレ寄りの畑のぶどうで造られたクール・ダルジールは、凝縮された強さを持っている。
自然酵母を用い、樽熟成期間は13カ月、新樽比率は30%。
年産わずか6,000本のピノである。
魚料理は、鮃のポワレ、つぶ貝、麦のリゾット、アスパラソバージュ添え、岩海苔のブールブランソース。
鮃は肉厚でジューシー。
今夜は良いつぶ貝が入荷したようで、アミューズに続き二度目の登場。
岩海苔のブールブランの香りがとても良い。
肉料理は、鴨胸肉のロースト、黒胡椒のマディラ酒ソース。
「メインは鴨なのね。嬉しい」と彼女。
今夜はシェフにお任せの季節のフルコースを注文しているので、皿が届くまで何の料理が出されるかわからないのだ。
絶妙の火入れ。
弾力がありながら柔らかい鴨肉がとても美味い。
今夜のデセール5種のなかから彼女が選んだのは、濃厚チョコレートのテリーヌ。
私が選んだデセールは、レアチーズのムースとグレープフルーツのジュレ仕立て、濃厚ミルクアイス添え。
「今夜もありがとう。ここ気に入ったわ。ね、また来ようね」と、彼女は今夜の料理に満足した様子。
「でも料理のヴォリュームがあったので食べ過ぎだね。今度は品数を減らしたコースにしようよ」
室内には、至る所にフランスの風景画か掛けられている。
テーブル間の距離も取られており、寛いで食事ができる空間だ。
山口潤シェフの料理は素晴らしく、奥様の山口沙知子ソムリエールのワインリストはとても良心的で洗練されている。
今夜も楽しい、彼女と過ごす中目黒の夜でした。