六本木の東京ミッドタウンに新しく出来た素敵なフレンチ、『六本木テラス フィリップ・ミル』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
ビルカール・サルモン、ドゥ・ラドゥセットのプイィ・フュメを飲んだあとは、ルイ・ジャドのピノ・ノワール。
コート・ド・ボーヌの、ドメーヌ・ガジェ、ボーヌ・プルミエ・クリュ、ブレッサンド、2005年。
ルイ・ジャドのドメーヌ物は本当に美味い。
彼女はルイ・ジャドが好きで、サンフランシスコに旅した時にもナパやソノマではワインを買わず、シスコのワインショップでルイ・ジャドを買って帰ったことを思い出す。
今夜の魚料理は、カナダ産オマール海老と黒オリーブのソテー、香味野菜の温かいマリネ。
ジューシーなオマール海老に野菜本来の旨味が凝縮された料理は、強いピノ・ノワールにも良く合う。
二種類目の赤ワインは、ボルドー、ポムロールのシャトー・ド・サル、2004年。
ポムロールで最大の畑と、ポムロール随一のシャトーを持つことで有名な造り手。
絹のように滑らかで、豊かな果実味を持つ。
それほど長命なワインではないので、今がピークなのかもしれない。
セパージュは不明だが、ぶどうの作付け面積は、メルロー70%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%、カベルネ・フラン15%。
樽熟成期間は18ヶ月、新樽比率は33%。
肉料理は、香ばしく焼き上げたブルターニュ産仔牛、ハーブのクーリとケッパーのジュソース。
白いソースは根セロリのクーリ、黄色のソースはバターナッツパンプキンのクーリ。
ケッパーのジュソースは何処にあるのかと思ったら、小さなパンを持ったスタッフが現れ、皿にトロリと飾り付けてくれる。
仔牛は癖が無く、とろけるような柔らかさ。
メインを食べ終えると、ディジェスティフが注がれる。
ボルドー、ソーテルヌのシャトー・カントグリル、2006年。
貴腐ワインである。
エチケットの下部に書かれている名前は、オーナーのドゥニ・デュブルデュ博士。
ボルドー大学醸造学部の教授で、ボルドーの4つのシャトーのオーナーでもある。
飴色ともいえる濃い黄金色。
アプリコット、カリン、熟した洋梨に、シトラスの香り。
濃厚な甘みを持ちながら、すっきりとした後味。
セパージュは、セミヨン80%、ソーヴィニヨン・ブラン20%。
樽熟成期間は18ヶ月で、新樽比率は30%。
デセールは、ペーシュ・ド・ヴィーニュとモンターニュブルーのムース。
ペーシュ・ド・ヴィーニュは”ぶどう畑の桃”。
昔はブルゴーニュのぶどう畑には桃が植えられていたそうで、赤い甘い桃なのだそうだ。
モンターニュブルーは、茶葉にヤグルマギクの花びらとストロベリー、ブルーベリー、ラベンダー、蜂蜜のフレーバーを加えた紅茶。
紅茶のムースを食べた後は、コーヒー。
良いレストランは、コーヒーも美味い。
「今夜の料理もワインも素晴らしかったわ。ありがとう」
「ボタニカも良かったけど、フィリップ・ミルも素敵だね。今度はテラスでのんびりシャンパーニュを飲もうか」
テラスに照明が点り、オリーブの樹が輝いて見える。
ガレリアには既に人気は無い。
六本木の街を少し散策することにしよう。
彼女と過ごす六本木の夜は、素敵に更けて行きました。