今夜は六本木の東京ミッドタウンで彼女と待ち合わせ。
彼女と落ち合うと、ガレリアに向かう。
”東京ミッドタウン10周年”と英語で書かれた垂れ幕が掛けられている。
「そうか、もう10年経つんだ。開業時は随分一緒に来たね」
「本当に時間の経つのは早いわね。今年ももう半分以上が過ぎちゃったわね」と、何となく二人ともしみじみとした雰囲気に。
でも素敵な夜が待っている。
今夜は、ガーデンテラスの4階にあった『ボタニカ』が閉店し、そのあとに今年4月に開業した素晴らしいフレンチ、『六本木テラス フィリップ・ミル』を訪問するのだ。
38歳で国際最優秀職人賞を受賞し、シャンパーニュ、ランスでミシュラン二ツ星に輝く『ドメーヌ レ・クレイエール』の総料理長を務めるフィリップ・ミル氏による日本初のレストラン。
店はガーデンテラスの最上階にあり、広いテラスが併設されている。
『ボタニカ』の時には、ここで夜風にあたりながらシャンパーニュを飲むのが好きだった。
シャンパーニュ、ランスのレストランだけあって、ここには特別なシャンパーニュが多数揃っている。
今夜のシャンパーニュは、ビルカール・サルモン、ブリュット、レゼルヴ。
1817年創業以来、家族経営を続ける少量逸品主義のメゾン。
「美味しい。私の好きなタイプだわ」
「君は黒ぶどうの比率が高いシャンパーニュが好きだからね。」
「セパージュを教えて」
「ピノ・ムニエが45%、ピノ・ノワールが30%に、シャルドネが25%だよ」
NVのブリュット、レゼルヴでも、瓶内熟成期間は3~4年で、リザーヴ・ワインは40%も使われている。
シャンパーニュのお供のプティサレは、牛肉のタルトとミモレットのシュー。
最初の前菜は、真鯛のカルパッチョ、甘酸っぱい蜂蜜のヴィネグレット、柑橘の香りを添えて。
すりおろしたオレンジの香りが素晴らしい。
カルパッチョと言っても、ヴィネグレットでマリネされた感じで、ねっとりとした食感がたまらなく美味い。
シャンパーニュが美味しいので、二人とも3杯ずつ飲んでしまった。
白ワインは、彼女が好きなロワールのソーヴィニヨン・ブラン。
ロワールの名門、ラドゥセット男爵が造る、ドゥ・ラドゥセット、プイィ・フュメ、2009年。
ドゥ・ラドゥセットはロワール最大の造り手で、プイィ・ヒュメの半分以上を生産している。
彼女はドゥ・ラドゥセットのフラッグ・シップ、バロン・ド・エルが大好きなのだ。
今夜はスタンダード・ラインのプイィ・フュメだが、それでも充分に美味しいソーヴィニヨン・ブランだ。
続いて出された料理は、様々なコキヤージュとズッキーニ、シャンピニヨン、レモングラス香る野菜のブイヨンと共に。
三種のコキヤージュ(貝)と四種のシャンピニヨン(茸)が使われている。
このバゲットは本当に美味い。
食べるとすぐに熱々の一切れが届くのが嬉しい。
六本木の東京ミッドタウンに新しく出来たフレンチ、『六本木テラス フィリップ・ミル』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。