彼女がのんびりホテルでワインを飲みたいと言い出した。
急に言われても、今の東京ではルームサービスのある良いホテルを予約するのはなかなか難しい。
ウエスティンやシェラトンやハイアットなど、ゴールド・メンバーになっているホテルに当たったが予約が取れない。
やっと予約できたのが、『メトロポリタン東京』。
彼女が気に入っているホテルなので、予約が取れてほっと一息。
チェックインし、カーテンを開け放す。
山も海も見えない景色は日本では珍しく、見渡す限り街が広がっている。
彼女からメールが届き、西武のデパ地下に居るので来てもらいたいとのこと。
何か好きな食べ物を探しているようだ。
買い物を終えて部屋に戻ると、冷やしておいたシャンパーニュを抜栓。
ジャクソン、739。
1798年創業で、ナポレオン一世に愛されたことでも有名なシャンパーニュ・メゾン。
レ・メイユール・ヴァン・ド・フランスの2016年で最高の三ツ星を獲得しているのは、約5,200社あるシャンパーニュ・メゾンの中で、ジャクソンを含む9社のみ。
ジャクソン以外の三ツ星メゾンは、アグラパール、ボランジェ、エグリウーリエ、ジャック・セロス、クリュッグ、ルイ・ロデレール、ポル・ロジェ、サロン。
やはり文句なく美味い。
ぶどうはリュット・レゾネで栽培され、739のセパージュはシャルドネ57%、ピノ・ムニエ22%、ピノ・ノワール21%。
クリュッグの創業者は、創業前にジャクソンで修業し、ジャクソン当主の妻の妹と結婚したのち、クリュッグを創立したそうだ。
ジャクソンのミュズレには番号が入っているので、集めて楽しい。
この700シリーズはヴィンテージを反映するために作られ、初ヴィンテージは2000年でリリース・ナンバーは728。
従って、739は2011年ヴィンテージ。
デパ地下で購入した料理をテーブルに並べる。
生春巻き、揚げ春巻き、そして中華の点心。
ローストビーフのサラダ。
茄子の御煮びたし。
アボカドとブロッコリーのサラダ。
それぞれ200gずつ購入したので、二人の皿に取り分けても乗り切らない量がある。
「ルームサービスも良いけど、デパ地下で買うと好きな料理を好きなだけ買えるので楽しいわね」と彼女。
「でも、取り皿やグラスをこんなに持ってきてもらったのだから、ルームサービスの料理も何か頼もうね」と私。
豚バラ肉の黒酢の大きな塊も二個購入。
美味しそうだが、流石にこれは冷えたままというわけにはいかないのでルームサービスに頼んで温めてもらう。
ジャクソンをあっという間に飲み干しそうなので、赤ワインも抜栓しておくことにしよう。
『メトロポリタン東京』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。