銀座の『アルジェントASO』で開催された、「美味しい決戦~2人のシェフが作る魂の一皿~」に彼女と共に参加した楽しい夜の続き。
二人とは、銀座のイタリアン、『アルジェントASO』の浅見淳料理長と、銀座のフレンチ、『アイコニック』の鈴木健太郎料理長。
この二人が料理のジャンルを超えて、創造力と技を競い合う一夜限りのディナー会。
魚料理は、鈴木料理長の担当。
千葉県産瞬締め鱸のアポワン、夏野菜のコンポジション、ソースベルモット、香草風味。
4日前に瞬締めし、熟成させた鱸。
火入れに拘り、皮はパリッと焼き、身は半生。
これは美味い。
白を二種類飲んだあとは、赤ワイン。
ボルドー、リュサック・サン・テミリオンのシャトー・ラ・クレイモア、2009年。
シャトーの名前はケルト人戦士の剣に由来し、イギリスに占領されていた11~12世紀の歴史を物語っている。
エチケットには二本の剣が描かれているが、剣先は下を向いており、戦いではなく平和を表現している。
色合いは濃いガーネット。
プラムやカシスのニュアンス、ハーブの香りも。
樽香が心地良い、滑らかでエレガントなワイン。
肉料理は、浅見料理長の担当。
季節の味覚を盛り合わせて、恩恵の彩華。
使われている食材は、山形の尾花沢和牛、山梨のももっこ、山菜は十勝の旬。
尾花沢は豪雪地帯で、夏と冬の寒暖差が50℃もある。
このため牛は肌理細かい脂を身体に蓄えることから、雪降り和牛と呼ばれている。
尾花沢和牛の下には、リゾットが敷かれている。
二種のソースを交互に付けて味わうと、極めて美味。
ディジェスティフは、ボルドー、サン・クロワ・デュ・モンでシャトー・デュ・モンが造る貴腐ワイン、サン・クロワ・デュ・モン、2011年。
サン・クロワ・デュ・モンは、貴腐ワインで有名なソーテルヌの対岸にある地区で、ソーテルヌに似たテロワールで上質の貴腐ワインが生産されている。
シャトー・デュ・モンの貴腐ワインは何度も飲んでいるが、洗練された上質のワインである。
ぶどうはセミヨン。
甘口のワインが苦手な彼女は、何時もの通りちょっと口を付けただけでグラスを私の前に置く。
私は何時もの通りディジェスティフを二杯飲み、酔いが深くなる。
グラスの写真は撮り忘れ。
ドルチェとデセールは、二人の作品が一緒に届く。
ソルダムのコンポートと、ウメッシュジュレと赤紫蘇のソルベ。
これは鈴木料理長。
マスカルポーネとショコラブランのムース。
これも鈴木料理長。
これは、浅見料理長が作るイタリアの伝統菓子、ズコット。
お腹はいっぱいなのだが、それぞれのデザートが異なる味と食感で美味しいので、完食。
「今夜の料理は最高だったわね」
「浅見さんも鈴木さんも、力が入っていたね。やはり二人の決戦などど名前を付けられると、プライドの戦いになるからね」
どの料理の素材も素晴らしく、創意工夫が散りばめられ、本当に美味しく楽しかった。
コーヒーに砂糖は入れないが、このパウダーシュガーは美味い。
浅見料理長と鈴木料理長と、今夜の料理に関する意見交換をするのも楽しい。
ミニャルディーズを食べ終えると、お世話になった皆さんにお礼を述べ、店をあとにする。
今夜も銀座を少し散策。
マックス・マーラのディスプレイが、モノトーンから一部カラーに変わっている。
ボッテガ・ヴェネタのディスプレイは商品中心だが、今回のはちょっと目を引く。
バッグの周りにあるのは、バッグに集まる人形たち。
モンクレールのディスプレイは何時も鮮やか。
シャネルのショウウインドウは何時も奇抜。
そしてコストも掛かっている。
ルイ・ヴィトンは変わっていない。
これはルイ・ヴィトンがジェフ・クーンズとコラボする作品のディスプレイで、ファン・ゴッホの他に、ダ・ヴィンチ、ティツィアーノ、ルーベンス、フラゴナールの作品がある。
絵が美しいだけでなく動くので、目を引く。
松屋の前を過ぎ、四丁目交差点に向かう。
窓の一つ一つに有名ブランドが並ぶ。
フェンディの路面店が銀座通りの向かい側にあるのに、松屋にもショウウインドウがあるとは面白い。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けて行きました。