銀座の『アルジェントASO』で開催された、「美味しい決戦~2人のシェフが作る魂の一皿~」に彼女と共に参加した楽しい夜の続き。
二人とは、銀座のイタリアン、『アルジェントASO』の浅見淳料理長と、銀座のフレンチ、『アイコニック』の鈴木健太郎料理長。
この二人が料理のジャンルを超えて、創造力と技を競い合う一夜限りのディナー会。
アペリティフに続く今夜の白ワインは、クロ・デ・リュヌ、リュヌ・ダルジャン、2012年。
ペサック・レオニャンのドメーヌ・ド・シュヴァリエがソーテルヌで造る辛口白ワイン。
レモンやライムの柑橘系の香りを持ち、酸とミネラルも活き活きとしている。
醗酵と熟成に一部樽も用いているので、仄かな樽香も心地よい。
ぶどうはセミヨン70%、ソーヴィニヨン・ブラン30%。
30%しか使われていないソーヴィニヨン・ブランが、香りでは前面に出ているのが面白い。
アミューズは、鈴木料理長の担当。
鰻のマトロート、玉蜀黍のロワイヤルに乗せて、トリュフの香り。
フランスではぶつ切りにする鰻を、今夜は開いて使っている。
赤ワインソースは、鰻の骨を入れて煮詰め、更にマディラ酒を加えることにより、より濃厚な味を出している。
鰻の上には黒トリュフが掛けられ、下にはトウモロコシのフラン。
文句なく美味しい一品。
イタリアンとフレンチの競演なので、パンも両国料理を代表する二種が出される。
ホイップドバターもたっぷり。
これが美味いのだ。
二種類目の白は、グラーヴのシャトー・サン・ロベール、キュヴェ・ポンセ・ドゥヴィル、2012年。
このワインを飲むのは初めて。
色合いは透明感のある黄金色。
熟したメロンの香り。
豊かな果実味と強い熟成感がきれいにバランスしている。
ぶどうは、セミヨン60%、ソーヴィニヨン・ブラン40%。
二種類の白を飲み較べ。
右が樽を一部に6~7か月使用しているリュヌ・ダルジャン、左が新樽で11ヶ月熟成させているポンセ・ドゥヴィル。
同じ2012年ヴィンテージでも、樽の使い方による色合いの違いが良くわかる。
前菜も鈴木料理長の担当。
うるめいわしの炙りとフヌイユのムース、キュウリとグリーンピースのガスパチョ、雲丹のグラスを添えて。
うるめいわしは、和の技法を取り入れ、塩、昆布、氷水、そしてレモンとワインヴィネガーの4回締められている。
冷たいムースは、裏ごしした雲丹に生クリームを加えて作られている。
手を掛けたうるめいわしもムースも、驚くほど美味い。
生雲丹が少しそのまま添えられているのも楽しい。
和のテイストを取り入れた、鈴木シェフの力作は高く評価できる。
続いて、浅見料理長のパスタ。
芳醇な新牛蒡と掘りたて筍のスパゲッティ、イタリアからの贈り物を添えて。
イタリアからの贈り物とは何だろうと器を覗き込んでいると、シチリア産のカラスミが入った容器が届き、チーズグレーターでカラスミを振りかけてくれる。
カラスミのオレンジが、牛乳の泡の白に鮮やかに映える。
器に乗せられたイタリア・カラーのリボンが可愛い。
筍の隣には、鹿児島県産のアカバラ(巨大熟成カンパチ)と長崎県産の烏賊が添えられている。
千切りにされた新牛蒡と炙られた筍の食感が素晴らしい。
牛蒡の下に少し顔をのぞかせているのがパスタ。
器が深いので、結構な量がある。
銀座の『アルジェントASO』で開催された「美味しい決戦」の楽しい夜はまだ続きます。