『ブラッセリー ポール・ボキューズ銀座』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
続くワインは、ロワールの赤。
ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴのテール・ショード・ソミュール・シャンピニー、2011年。
ドメーヌを率いるのはティエリー・ジェルマン。
一代でソミュール・シャンピニー最上の造り手の一人となった人気の醸造家である。
ぶどうはカベルネ・フラン100%で、栽培はビオディナミ。
素晴らしい果実味を持ち、洗練されたボディ。
フランによくある青臭さは全くない。
肉料理は、牛肉のソテー、プラムの入った赤ワインソース、プティ・ポワのピューレと春野菜。
プティ・ポワ、つまりグリーンピースがピューレと粒の二つの形で使われている。
素敵な焼き加減の赤身の牛が美味い。
赤ワインソースに入ったプラムの実の甘さが良いアクセントになっている。
ディジェスティフは、コート・デュ・ローヌを代表する造り手、ファミーユ・ペランの、ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ、2010年。
ボーム・ド・ヴニーズで造られた天然甘口ワイン。
ワインの醸造工程中にアルコールを添加し、発酵を止めて糖分を残したフォーティファイド(酒精強化)ワイン。
ミュスカの自然な甘みが美味しい。
ぶどうは、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ブラン60%、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ノワール40%。
デセールは、ベリーフルーツのグラタン仕立て、フランボワーズの爽やかなソルベとオレンジのチュイル。
甘いベリーのクリームと、酸味のあるフランボワーズのソルベ、そしてミントの香りの競演。
「今夜も木下さんの料理は良かったわね」
「でも君は、鰆はミ・キュイの方が好きだよね」
「よくわかるわね」
「君の好みは熟知してるよ」
食後のこんな会話も楽しい。
何度訪れても飽きることが無く、居心地の良いお店は貴重だ。
今夜飲んだワインたちがお見送りしてくれる。
ソムリエの大友さん、料理長の木下さんに今夜のお礼を述べて店をあとにする。
たっぷりのディナーのあとは、銀座を散策。
マックス・マーラのディスプレーが大きく変わった。
何時もは鮮やかなパステルカラーだったのに、今回はモノトーン。
今夜は飲み過ぎたようだ、ビルが歪んで見える。
という訳ではなく、デビアスのビル自体がぐにゃりと歪んでいるのだ。
別の方向から見ると、こんな具合。
見ているだけで酔ってしまいそう。
カルティエもブルガリも元気に輝いている。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けていきました。