南青山のフレンチ、『青山ブション・アミュゼ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
四種類目のワインは、ポルトガルの赤。
キンタ・ダス・マイアス、ダン、ジャエン、2008年。
ダン地方のワインで、作家の檀一雄氏がポルトガルに1年4ヶ月滞在し「火宅の人」を執筆した時、自分の姓と同じダン・ワインを愛飲したことから、日本でもダンが知られることとなった。
ブラックベリーやカシスの香り、樽香も感じる。
酸味があるので、強いタンニンもバランスが良い。
これは驚くべき洗練されたワインだ。
ぶどうはジャエン100%で、フレンチオークの新樽で9ヶ月間熟成されている。
ダン地方では、ぶどう作りに優れた気候により、ジャエンから長期熟成に耐える素晴らしいワインが生産されているのだ。
なお、ジャエンはスペインのメンシアと同じぶどうである。
メイン料理は、予約時に鳩の藁焼きをお願いしておいた。
彼女が大好きな料理なのだ。
レアで焼かれた鳩一羽がどんと届く。
添えられているのは、鳩を炙るのに使った有機栽培の藁。
二人に取り分けても、結構なヴォリュームがある。
薬味は、レモン、マスタード、イングランド産の粗塩。
「う~ん、美味しい。わざわざ鳩を頼んでくれたのね。ありがとう」と微笑む彼女が可愛い。
五種類目のワインは、アルザスの白。
ドメーヌ・クリスチャン・ビネールが造る、コート・ダメルシュウィール、2012年。
1770年からワイン造りを行う、家族経営の名門ドメーヌである。
豊かなミネラルと爽やかな酸。
柑橘系の香り、甘い果実のニュアンスも持つ。
畑作業は全て手作業で行われ、ぶどうはビオロジックで栽培。
このため畑はわずか6ヘクタールだが、ぶどうの樹齢は85年と古い。
セパージュは、リースリング40%、ピノ・グリ40%、ゲヴュルツトラミネール10%、ミュスカ5%、オーセロワ5%。
〆は、STAUB御飯。
銀の鴨もも肉のコンフィ、フォアグラ、葱、オレンジ。
素晴らしい香り。
STAUBで炊きあげられた御飯は、適度な硬さがあり最高に美味い。
彼女がもう少しゆっくりしたいと言うので、モンドールを出してもらう。
モンドールも彼女の好物なのだ。
モンドールにどんなワインを合わせるか、店長の真鍋さんと相談。
真鍋さんのお薦めは、ロワールの白。
ルドヴィック・シャンソンが造る、モンルイ・シュール・ロワール、レ・ペッシェ、2014年。
若き自然派の造り手、ルドヴィック・シャンソンを日本に紹介したのは、ロワールで活躍する自然派の造り手、新井順子氏。
彼女はこのワインを選んだので一口飲ませてもらったが、果実味豊かな素晴らしいシュナン・ブランである。
ぶどうはビオロジックで栽培され、発酵、熟成とも100%樽が使われている。
私は、鳩に合わせて飲んだフルボディの赤が美味しかったので、再度注文。
このジャエンで造られたワイン、すっかり気に入ってしまった。
ワインのペアリングは楽しい。
シェフの料理にソムリエが知恵を絞って合わせるワインを選ぶ。
自分でボトル・ワインを選ぶことでは決して出会えないワイン達。
前田シェフ、真鍋店長、楽しい夜をありがとうございました。
彼女と過ごす南青山のフレンチ、『青山ブション・アミュゼ』の夜は素敵に更けていきました。