西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で開催された、高知県とのコラボ・ディナーの続き。
二種類目の白は、私が好きなブルゴーニュの造り手のシャルドネ。
クローディ・ジョバールが造る、リュリー、モンターニュ・ラ・フォリ、2010年。
クローディ・ジョバールはコート・シャロネーズに本拠地を置く女流醸造家。
代々醸造家の家系で、母親はドルーアンの醸造責任者を務めた人物。
クローディ自身も自分のドメーヌを運営するとともに、ルモワスネの醸造責任者も務めている。
「貴方の好きなタイプのシャルドネね」と彼女。
「クローディが造るワインは、芳醇なボディを持つ貴婦人を想起させるね」と私。
「貴方がそういう表現を使うと、エロチックな響きに聞こえるわ」と彼女。
「クローディに会いたくなった」と私。
「どうぞお好きに」と彼女。
このワイン、『ひらまつ』に頼んで買っておこう。
魚料理は、炭焼きにした土佐湾の海援鯛、うつぼの炙り、柚子胡椒の香り、宗田節のコンソメ仕立て。
宗田節のコンソメスープの香りがとても良い。
土佐湾の鯛は、”海援隊”をもじった”海援鯛”なのだそうだ。
総料理長の内木場さんによると、うつぼを調理するのは生まれて初めてで、骨が多くて苦労したとのこと。
魚料理に合わせて、土佐の日本酒、亀泉、純米吟醸原酒が出される。
亀泉酒造は、土佐市にある明治30年創業の酒蔵。
この純米吟醸原酒は、高知県産の風鳴子(高育63号)という米を用い、吟醸酵母もAA-41という高知県で開発されたもの。
肉料理には、赤ワイン。
マルゴーの、シャトー・ポンタック・ランシュ、2009年。
クリュ・ブルジョワだが、シャトー・マルゴー、シャトー・パルメ、シャトー・ディッサンという錚々たるシャトーに囲まれた好位置にある小さなシャトー。
しっとりと落ち着いた重厚なボディ。
これでクリュ・ブルジョワとは驚きの高品質。
オークの樽で12~14か月熟成されており、新樽比率は1/3。
セパージュは、メルロー40%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、カベルネ・フラン25%、プティ・ヴェルド5%。
土佐あかうしのロースト、ソースペリグー、香ばしい里芋のフリットとはすいもを添えて、田野屋塩二郎さんの特製塩。
熊本のあかうしは大好きだが、土佐にもあかうしがあることは初めて知った。
皿の左手前にのっているのが、田野屋塩二郎さんが造った塩。
ディジェスティフは、ローヌのファミーユ・ペランが造る、ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ、2010年。
ボーム・ド・ヴィニーズはローヌ南部の東にある地区で、ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズがAOC。
ファミーユ・ペランはローヌを代表する造り手のひとつ。
発酵途中の果汁にブランデーを加えて発酵を止め、糖分を残したフォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)。
使われているぶどうは、ミュスカ・ア・グラン・ブラン60%、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ノワール40%。
とても甘くアルコール度数が高いので、彼女は苦手。
そこで私が彼女の分まで飲むことになり、一挙に酔いが回る。
デセールは、土佐の文旦、まるふく農園のフレッシュハーブのジュレ、ミントの爽やかなシャーベット。
高知の柑橘類と言えば大きな文旦。
高知の朝市でいっぱい買ってホテルで食べたことを思い出す。
今夜はワイン5種類と日本酒1種類、カクテル1種類を飲んだ。
「帰りは六本木まで歩きたい」と彼女が言うところをみると、彼女も飲み過ぎたようだ。
ミニャルディーズは、北川村産柚子のマカロンと、高知県産和栗のタルトレット。
飲み過ぎ食べ過ぎでも、こんな可愛いプティ・フールを食べない手はない。
美味い。
今夜のワインたちがお見送りをしてくれる。
レセプションを一歩外に出ると、予想外の雨。
坂本支配人がビニール傘を二本、「どうぞお持ちください」と間髪を入れず差しかけてくれる。
こんな心遣いが嬉しい。
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と楽しんだ、高知県とのコラボ・ディナーでした。