
今夜は彼女とジビエ料理を味わうことにした。
待ち合わせ場所は、茅場町。
今夜の店はわかりにくい路地裏にあるので、彼女は私と一緒でないとお店にたどり着けない。
これが今夜の目的地、ジビエ料理専門の『ニコ・チェルシー』で、彼女は二度目の訪問。
この店は、古民家を改装した一軒家レストラン。
初めて彼女を連れてきたときはお洒落な店ではないので心配したが、料理が美味しいので彼女のお気に入りとなったのだ。

店があるのは路地裏。
路地の入口に置かれたこの看板が無ければ、初めての人は店に行きつくことができない。

私たちが好きなのは、10席ほどの、このカウンター席。
今夜入荷している肉について、シェフと話をしながら食べるのも楽しい。

1階にはカウンター席の他に、ワイン樽のテーブルが三つある。
2階には小部屋と大部屋があるが、一度も利用したことが無い。

最初は、グラス・シャンパーニュ。
二人でグラスをかざし、目と目を合わせる。
「今夜もありがと。ここ大好き」と、彼女。
「今夜も素敵だよ」と私。
シャンパーニュを飲みながら、シェフに今夜入荷の肉を確認し、料理を選ぶ。
飲んでいるシャンパーニュは、ディディエ・ショパンが造る、ヴーヴ・ド・ノーザック、ブリュット。

1989年設立の家族経営のメゾンで、コンクールでも高い評価を獲得している。
ぶどうは、ピノ・ムニエ70%、ピノ・ノワール30%の、ブラン・ド・ノワール。
甘い熟したフルーツ、そして炒ったアーモンドの香りが心地よい。

シャンパーニュのお供は、ドライトマトとオリーブのマリネ。
このドライトマトが美味しくシャンパーニュに良く合う。

もう一皿は、青のラタトュイユ。
ほろ苦野菜を使用しているとのこと。
確かにゴーヤがとても苦くて身体に良さそう。

ここにはワインのメニューは無く、自分でセラーに入り、置かれているワインの中から好きなものを選ぶのだ。
セラーと言っても、民家の押し入れに目張りをしてエアコンを効かせた部屋。
人一人がやっと入ることができるスペースで、白ワインを1本選んで持ってきた。
ボルドーのシャトー・ムーラン・ド・リュクリュー、2014年。
ムーラン・ド・リュクリューはコート・ド・ブライにある17世紀から続くシャトー。
現在の若い当主が引き継いでから、2013年にビオロジックのソーヴィニヨン・グリの畑を購入し、初ヴィンテージは2014年。
まさにこのボトルである。

父から引き継いだ畑もビオロジックに移行中とのことで、今後要注目の造り手だ。
ソーヴィニヨン・グリはソーヴィニヨン・ブランの一種で、ピンクの果皮を持ち、ソーヴィニヨン・ロゼとも呼ばれている。
ボルドーのぶどう品種の中で最も栽培が難しい品種だが、ソーヴィニヨン・ブランに較べてより重厚な白が造られることから、好んで用いる醸造家もいる。
グレープフルーツ等の柑橘系の香りを持ち、ミネラル、酸もしっかりと感じる。
ぶどうはソーヴィニヨン・グリ100%で、熟成に樽は用いていない。
彼女と過ごす茅場町の『ニコ・チェルシー』での楽しい夜は、まだ続きます。