
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で開催されたパーティーに彼女と参加した楽しい夜の続き。
クレマン・ド・ブルゴーニュ、コート・カタランとリュリーの白を飲んだ後は、ボルドーの赤。
フロンサックのシャトー・オー・バレ、2009年。
フロンサックはドルドーニュ川の右岸、ポムロールから西に15kmほど離れた場所にあるAOC。

一口飲んで、その力強さに驚かされる。
ビロードのように滑らかなボディはとても強いタンニンを持ち、骨太のストラクチャーをしている。
メルロー100%で造られ、アルコール度数は14.5%もある。

合わせる肉料理は、国産牛肉のロースト、グリンペッパーソース。
この料理も二人だけの別メニューで、肉はイチボ。
他の方の料理は仔牛のムニエルだが、強いシャトー・オー・バレにはこの牛のローストの方が良く合う。

ディジェスティフは、ポルト。
ロゼス、トゥニー。
ロゼスは1855年創業の名門で、トゥニーは樽熟成させた褐色のポルト。

あれ、二つ目のグラスが私たちに届けられた。
何かと思ったら、「こちらも試して下さい」とのこと。
ボトルを見ると、ロゼスの2003年ヴィンテージ。
トゥニーは美味いと思っていたが、13年熟成のヴィンテージ物を飲むと、その深い味わいに驚かされる。

デセールは、オーストラリア産イチジクのミルフィーユ、黒ゴマのアイスクリーム。
フレンチを食べた後のデセールは本当に美味い。

ミニャルディーズもテーブルに届く。
「今夜も美味しかった。ここ、好き」と彼女。
「良い店だよね。僕も君の次にここが好きだよ」

「もっと好いレストランが見つかったら、私はそこと第一位の座を争うことになるのね」と切り返される。
下手な返事はしない方が身のためだ。
彼女と過ごす西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』の夜は、素敵に更けていきました。