
銀座一丁目のフレンチ、『ラ・カンティーヌ・サントル』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
白のボトルを飲み干した後は、抜栓しておいた赤をグラスに注ぐ。
ドメーヌ・ラゴ、ジヴリ、2012年。
ラゴは、ブルゴーニュ、コート・シャロネーズのジヴリ村に本拠地を構えるドメーヌ。
ドメーヌの設立は1984年と新しいが、ラゴ家は18世紀から代々ワイン業に携わり、現当主は五代目。

グラスの後ろに、撮り忘れた白ワインのボトルが写っている。
強い果実味を持ち、豊かな酸、円やかなタンニン。
ストラクチャーは複雑で、余韻も長い。
ぶどうはリュット・レゾネで栽培され、収穫は手摘み、発酵には野生酵母を用いている。
ジヴリはあまり飲むことのないAOCだが、これは美味い。

魚料理は、フランス、ブルターニュ産黒鯛のポワレ、白ワインソース。
あまりの大きさに驚く。
大きな黒鯛の半身がそのまま使われている。

最初に氷に漬けて出された黒鯛が使われたようだ。
それにしても、魚までフランス産を使うとは。

背側と腹側を分け、それぞれを二つに切り分ける。
彼女は背側が好きなので、背側の上半分と、腹側の下半分を取り分ける。
しっかりと旨味が詰まったすばらしい白身だ。

続いて肉料理。
フランス、バスク産マグレ鴨のロースト、グリーンペッパーソース。
マグレ鴨はフォアグラ用の鴨で、大きく脂がのっている。

その大きな胸肉が4切れも出された。
二人に取り分けてもこのヴォリューム。
ジューシーでとても美味い。

鴨が届くと同時に、ナイフとフォークが取り換えられる。
鴨用に出されたのは、ラギオール。
蜂のマークが背中にちゃんと付いている。
名前はラギオールだが、作られているのはラギオール村ではなく近郊のティエール村。

素晴らしい切れ味だ。
切れ味が良いと、鴨が一層美味しく感じる。

フロマージュを食べたかったが、お腹いっぱいで今夜は諦める。
デセールもケーキ類は無理なので、シャーベットを選ぶ。
私が選んだのは、ピスタチオ、洋梨、それと、何か。

彼女が選んだのは、ラズベリー、マンゴー、それと、何か。
今夜の記憶力は、66%。
どれもフルーティで美味しい。

食後は、フレンチ・コーヒー。
今夜の食材は、どれも素晴らしかった。
彼女の顔が美しく輝いているのは、満足の証し。
「黒鯛もマグレ鴨も素晴らしかったわ。ここ、本当に好き。また来ましょうね」と彼女。
「うん、また来よう。君が好きなお店は、僕も好きだから」
銀座一丁目の『ラ・カンティーヌ・サントル』で彼女と過ごす、素敵で美味しい夜でした。