
彼女と銀座で待ち合わせ、食事に向かう。
銀座一丁目の『ラ・カンティーヌ・サントル』の前には、相変わらずの行列。
ここは食パンで有名な『ヴィロン』のお店なので、食パンを買い求める人が絶えることがない。

私たちは行列の横を抜け、一番奥の部屋に向かう。
そこは静かな書斎のような部屋で、格別のフレンチを味わうことができる。
彼女は好きな店に行くときは、ちょっとドレッシー。
そんな素敵な彼女が好きだ。

入り口のテーブルの上には、キノコが載ったトレーが置かれている。
よく見ると、フレッシュ・サマー・ポルチーニだ。
「これ、食べたい」、フレッシュ・サマー・ポルチーニは彼女の好物なのだ。

選んだ白ワインのボトルを抜栓。
でも、ボトルの写真を撮り忘れ。
アイスバケットに入っているので、撮影する機会が無かったのだ。
ドメーヌ・デュ・タリケ、ソーヴィニヨン・ブラン、2012年。
タリケは1683年ガスコーニュに設立されたドメーヌで、1980年代から白ワインの生産を始めている。
豊かな果実香と果実味を持ち、フレッシュで活き活きとしたボディ。
しっかりとした酸とミネラルを持つ、爽快なソーヴィニヨン・ブランである。

今夜の魚と肉が運ばれてきた。
この大きな鯛は美味そうだ。
彼女も「今夜はお魚も食べましょうよ」と気合十分。

小さな黒板に書かれた今夜のメニューも見ながら、食事の組み立てを考える。
『ヴィロン』のお店なので、パンはとても美味しく必須アイテム。
シャリュキュトリも美味しいので、頼みたい。

パンのワゴンが来た。
彼女が3種類、私が3種類選び、計6種類を切ってもらう。
まだ他に客は居ないので、パンはどれも新しく切りたてなのが嬉しい。

パン・ド・カンパーニュ、全粒粉パン、クルミパン。
どれも二切れずつ切り取ってくれる。

無花果パン、レーズンパン、・・・もう一つは何だったか忘れた。
ともかく、どれを食べても美味い。
さすが『ヴィロン』のお店だ。

シャリュキュトリの盛り合わせも届く。
生ハム、サラミ、ハム、ムース、パテ・ド・カンパーニュ等々、8種類が盛られている。

二人の皿に取り分けるのは私の役目。
ムース以外は固形物なので、簡単な作業。
スプーンとフォークを使い、片手で手際よく取り分ける。
半分の量になった皿を見ても、充分なヴォリュームがある。

彼女のために調理してもらったサマー・ポルチーニのソテーも届く。
これは入り口のテーブルに置いてあった、イタリアからの空輸品。
そのため、ちょっとした肉や魚のメイン料理くらいの価格となった。

これも私が二人の皿に取り分ける。
見た目はグロテスクだが、食べると本当に美味い。
「前回ミラノに行ったとき、サマー・ポルチーニを食べなかったのが心残りなの」と彼女。
「でも、プロシュートとメロン、フレッシュ・モッツァレラ、それにスカンピを山ほど食べたじゃない」と私。
銀座一丁目の『ラ・カンティーヌ・サントル』で彼女と過ごす素敵な夜は、まだ続きます。